AI普及でデータセンター冷却需要が拡大
パナソニックは3月4日、データセンター向けの液体冷却システムの受注を欧州で開始したと発表した。クラウドサービスや人工知能(AI)の利用拡大に伴い、データセンターに設置されるサーバーの発熱量が増加しており、効率的な冷却技術への需要が高まっている。
従来は空調設備によって室内の空気を循環させる「空冷方式」が主流だったが、高性能半導体を搭載したサーバーでは発熱が大きく、より高効率な冷却方法が求められている。こうした状況を受け、同社は液体を用いた新しい冷却システムの事業化に踏み切った。
冷却水循環装置「CDU」の仕組み
今回開発された装置は、データセンター内で冷却水を循環させる「CDU(冷却分配装置)」と呼ばれるシステムである。サーバーが設置された複数のラックに配管を接続し、冷却水を送り込むことで機器から発生する熱を吸収する。
温度が上昇した水は装置に戻り、内部の熱交換器で冷やされた後、再び冷却水として循環する仕組みだ。これにより、空気を利用する従来の冷却方法より効率的に熱を除去できる。グループ内では1つのラックに対応する機器を開発していたが、複数ラックを同時に冷却する装置は今回が初めてとなる。
空冷事業に加え液冷を新たに展開
パナソニックは2023年にイタリアの企業を買収し、データセンターの空調設備による空気冷却事業を展開してきた。今回の液体冷却システムは、その事業を補完する形で新たに追加される。
サーバー用半導体の高性能化により消費電力と発熱量が増加しているため、顧客側では空冷と液冷の両方を組み合わせた冷却環境の整備が求められている。同社はこれら複数の方式を提供することで、データセンター事業者の選択肢を広げる狙いだ。
欧州を起点に世界市場へ展開
新しい冷却装置はイタリアの工場で製造し、現地の販売網を通じて欧州のデータセンター事業者へ提案する。欧州は再生可能エネルギーの利用拡大やデータセンター投資の増加により、設備需要が拡大している地域とされる。
パナソニックは欧州で実績を積んだ後、市場規模の大きい北米や日本を含むアジア地域への展開も視野に入れる。世界的にデータセンターの建設が進むなか、各地域で冷却設備の需要が高まっているためだ。
グループ連携でデータセンター事業強化
同社は冷却装置だけでなく、グループ企業との連携を通じたデータセンター関連事業の拡大も進めている。パナソニックエナジーはデータセンター向け蓄電システムの事業を強化しており、2028年度までに売上高を現在の約4倍となる8000億円規模へ拡大する計画を掲げている。
冷却設備と電力関連設備を組み合わせて提案することで、データセンター事業者にとって統合的なインフラソリューションを提供する体制を整える方針だ。
