海峡封鎖が日本の化学産業へ波及
中東地域の緊張が、日本の基礎化学産業に影響を及ぼしている。三菱ケミカルは3月9日、茨城県神栖市にある事業所でエチレンの生産量を抑制していることを公表した。
原因はホルムズ海峡の封鎖による原料供給の不透明感である。エチレン製造に必要なナフサの調達量減少が見込まれるため、設備の稼働率を下げる措置が取られた。
生産調整は3月6日から開始されている。
エチレン原料ナフサの供給減少見込み
ナフサは原油から生成される石油製品で、エチレンなど基礎化学品の生産に欠かせない。日本では石油精製会社からの供給に加え、海外からの輸入によって調達されている。
しかし輸入ナフサの多くは中東地域に依存しており、ホルムズ海峡の物流が滞れば供給が制約される可能性が高まる。
今回の情勢を受け、同社は原料確保の不確実性を考慮して減産を決めた。
茨城事業所の生産能力と国内比率
減産対象となった茨城事業所のエチレン設備は、年間48万5000トンの生産能力を持つ。国内エチレン供給の約8%を担う重要な拠点である。
同施設では国内供給に加え、輸入ナフサも原料として利用している。供給が減少した場合でも設備停止を避けるため、稼働率を調整する形で対応した。
生産量の具体的な削減幅については明らかにされていない。
顧客企業へ事前通知し供給体制調整
三菱ケミカルは減産開始に伴い、主要な取引先に対して生産調整の実施を連絡した。エチレン設備は再起動まで時間を要するため、完全停止を避けることが重要とされる。
鹿島設備では5月から定期点検を予定している。通常は点検期間に備えて在庫を積み上げるが、減産の影響で十分な在庫確保が難しい場合には顧客との供給調整を進める。
国内石化メーカーの対応に注目
三菱ケミカルは岡山県倉敷市で旭化成とエチレン設備を共同運営しているが、この施設では現時点で減産措置は取られていない。
一方、出光興産は山口県と千葉県の設備について、海峡封鎖が長引けば生産停止の可能性があると取引先へ伝えている。両設備の生産能力は国内全体の約16%に相当する。
中東情勢の動向によっては、日本の石油化学産業全体に供給面の影響が広がる可能性がある。
