為替市場で円売り進行の背景
2026年3月12日の東京外国為替市場では、円相場が対ドルで下落した。取引時間中には1ドル=159円台前半を付け、約2カ月ぶりの円安水準となった。
為替市場では、中東情勢の悪化を受けて投資資金がドルへ移動する動きが拡大した。ドルは国際金融の中心通貨であり、地政学的な不安が高まる局面で買われやすい傾向がある。
このため、円やユーロに対してドルを買う取引が優勢となり、円相場の下落につながった。
軍事衝突の長期化観測が影響
米国・イスラエルとイランの軍事衝突は収束の見通しが立っておらず、市場では緊張が長期化するとの見方が広がった。
こうした状況の中で、イラン周辺海域では船舶が攻撃を受けたとの報告もあり、地域の安全保障環境が不安定化している。
中東は世界のエネルギー供給に大きく関わる地域であり、情勢の不安定化は金融市場全体のリスク要因として意識されている。
エネルギー価格上昇が為替を押し下げ
原油価格の上昇も円安要因として働いた。12日の取引では、ニューヨーク原油先物が95ドル台まで上昇した。
日本はエネルギー資源の輸入依存度が高く、原油価格の上昇は輸入コスト増加につながる。
市場では貿易赤字の拡大を見込んだ円売りが出やすくなり、ドルを確保する動きが強まった。
欧州通貨や株式市場にも影響
為替市場では、ユーロもドルに対して弱含んだ。エネルギー価格の上昇が欧州経済の負担になるとの見方が、ユーロ売りにつながった。
東京市場では株式も下落し、日経平均株価は572円安となった。
さらに国債利回りが上昇し、株式・債券・通貨が同時に弱くなる「トリプル安」の状況となり、市場の不安定さが際立った。
政府介入への警戒が取引を左右
円安が急速に進んだことで、市場では為替介入への警戒感も広がった。過去に政府・日銀が為替動向を確認した水準に近づいたためである。
このため、円安が進む局面ではドル売りが入り、相場は一方向に動く展開にはならなかった。
午後の取引では1ドル=158円台後半まで円高方向に戻る場面もあり、為替市場では慎重な取引が続いた。
