供給網全体の排出削減を推進
トヨタ自動車系の部品メーカーをめぐり、供給網全体でCO2排出を減らす取り組みが進む。中部電力ミライズは6月1日、豊田通商と組み、東海理化の取引先12社に脱炭素につながる電気の提供を開始した。自動車産業では、製品を支えるサプライチェーン全体で温室効果ガスを管理する必要性が高まっている。
今回の対象は、東海理化と取引関係にある企業である。部品の製造や供給に関わる企業が電力の脱炭素化に取り組むことで、グループ全体の排出削減につながる。中部電力ミライズは、こうした需要に対応する形で新たな供給形態を打ち出した。
九州の風力発電を仕組みに活用
今回の電力供給では、豊田通商傘下の企業が保有する風力発電所由来の環境価値を使う。具体的には、豊田通商子会社のユーラスエナジーホールディングスが九州で展開する風力発電所が関係する。中部電力ミライズは、風力発電に伴うCO2削減分を環境価値として取得し、その価値を電気に反映させる。
この方式により、取引先企業は再生可能エネルギーに由来する価値を含む電力を利用できる。供給される電力に環境価値を組み合わせることで、事業活動に伴う排出削減を進める仕組みである。再生可能エネルギーを直接導入しにくい企業にとっても、脱炭素対応を進める手段となる。
中小企業の導入負担を軽減する仕組み
企業が電力の脱炭素化を進める方法には、敷地外の発電所から再生可能エネルギー由来の電気を受けるサービスがある。中部電力ミライズも、太陽光発電所を活用したPPAによる供給を進めてきた。ただし、こうした契約は通常20年と長く、中小企業にとって導入しにくい面があった。
今回の仕組みでは、契約期間を最大で約5年と想定する。長期契約に比べて期間が短いため、サプライヤー側は導入判断をしやすくなる。安定的な脱炭素電力の利用を確保しつつ、契約上の負担を抑える点が特徴である。
年約2219トンのCO2削減を想定
中部電力ミライズによる今回の供給では、東海理化のサプライチェーンで年間約2219トンのCO2削減が見込まれている。削減効果は、風力発電由来の環境価値を用いることで生まれる。取引先12社の電力利用に対して、脱炭素化の効果を反映させる内容である。
自動車業界では、自社だけでなく取引先を含む供給網全体の温室効果ガス排出量を示すスコープ3への対応が重視されている。部品や資材の調達段階まで排出量を管理し、削減につなげることが企業の環境対応で重要になっている。今回のサービスは、こうした供給網全体の脱炭素化を進めるための施策となる。
他のトヨタ系企業にも提案へ
中部電力ミライズは、今回の提供を第1弾として、東海理化以外のトヨタ系部品メーカーにも同様の提案を行う方針である。トヨタグループの供給網で利用が広がれば、部品メーカーや取引先を含む広い範囲で電力の脱炭素化が進む。契約期間を抑えた仕組みは、中小サプライヤーの参加を後押しする。
今回の連携では、中部電力ミライズが電力供給を担い、豊田通商側が風力発電所由来の環境価値を支える構図となる。年間約2219トンのCO2削減を見込む取り組みは、供給網単位の排出削減を具体化するものだ。自動車産業でスコープ3対応が重要となる中、脱炭素電力の導入拡大が進められる。
