株主総会で架空取引問題の経緯を詳しく報告
KDDIは6月17日、東京都内で定時株主総会を開き、傘下企業で発覚した架空取引について株主に説明した。松田浩路社長は、グループ全体の信用に関わる重大な事案と位置付け、株主に対して謝罪した。問題は子会社のビッグローブと孫会社のジー・プランで発生し、広告代理店との業務を実際に受発注したように見せかける形で処理されていた。
この不正により、売上高として2400億円超が架空に計上された。KDDIは3月、2025年4〜12月期までの過年度決算を修正すると発表している。修正の結果、売上高は累計2461億円、営業利益は同1508億円下振れした。
329億円流出の回収へ法的対応を本格開始
架空取引に関連し、外部には手数料名目で合計329億円が流出していた。松田社長は株主総会で、流出資金の回収に全力を挙げる考えを示した。関係先に対しては損害賠償請求などを行い、責任の所在を明確にしていく方針だ。
KDDIは取引に関わった21社のうち、一部企業に対して損害賠償を求める訴訟を提起した。提訴の対象は21社すべてではなく、数社に限られている。さらに、取引を実行したグループ傘下の元社員2人についても、補償を求める方針で、提訴も選択肢に入れている。
子会社管理の不備と業務属人化が背景に浮上
KDDIは、不正が起きた背景として、子会社側で業務が特定の担当者に依存していた点を挙げた。業務の属人化により、取引内容を十分に確認する仕組みが働きにくくなっていた。加えて、親会社であるKDDIによる事業管理が十分ではなかったことも要因と説明した。
同社は、社長直轄の「グループガバナンス強化対策会議」を通じ、再発防止策を進めている。グループ内の管理体制を見直し、子会社を含めた統制の強化を図る。今回の問題は、個別企業の不正にとどまらず、グループ全体の管理のあり方を問う事案となった。
株主から再発防止を求める声が相次いだ総会
総会には626人の株主が出席した。午前10時に始まり、前年より30分長い128分で終了した。取締役の選任など、会社側が示した5議案はいずれも可決された。
質疑では14問が出され、そのうち架空取引に関する質問は5問だった。株主からは、過去に公表された海外子会社での不正会計を踏まえ、KDDIのガバナンス体制を問い直す意見が出た。不正を繰り返さない会社にするよう求める声もあり、再発防止策への関心の高さが示された。
信頼回復へ問われる管理強化の実効性
今回の総会では、KDDIが架空取引問題を経営上の重要課題として位置付け、謝罪、資金回収、法的対応、再発防止策を説明した。取引先企業への提訴や元社員への補償請求方針は、責任の所在を明確にする動きとなる。外部に流出した329億円の回収がどこまで進むかも、今後の焦点となる。
一方で、問題の背景には子会社管理の甘さや業務の属人化があった。KDDIが示したガバナンス強化策は、実際に機能する仕組みとして定着する必要がある。株主の信頼を取り戻すには、再発防止策の説明だけでなく、グループ全体での継続的な管理改善が求められる。
