覚書後初の高官協議が実施
米国とイランは6月21日から22日未明にかけ、スイス中部ビュルゲンシュトックで和平に向けた高官協議を行った。協議は、6月17日に両国が戦闘終結の覚書へ署名してから初めての本格的な交渉となった。仲介国としてパキスタンとカタールが参加し、最終合意に向けた具体的な手続きが確認された。
覚書では、60日間でイランの核問題やレバノン情勢などに関する道筋を整理し、最終合意を目指すことが示されている。今回の協議は、その行程表を実務段階に移す場となった。仲介国は共同声明で、米国とイランが技術的協議を継続することで一致したと発表した。
海峡通航維持へ連絡線設置
協議で重視されたのが、ホルムズ海峡の通航維持である。同海峡は原油輸送の重要な経路であり、緊張が高まれば商船の安全確保が大きな課題となる。パキスタンとカタールの共同声明によると、商船の安全な航行を支えるための連絡ラインを設置することで合意した。
ロイターによると、ホルムズ海峡の通航を維持する仕組みについては、今後数日から数週間にわたり実務者協議が続けられる。イランは週末、米国とイスラエルが覚書に違反したとして同海峡を再び封鎖し、緊張が高まっていた。バンス米副大統領は、不満や警告はあったものの、最終的に協議は継続され、進展が得られたと述べた。
レバノン衝突回避へ体制整備
協議では、レバノンでの衝突を避けるための体制づくりも議題となった。仲介国の共同声明では、衝突回避に向けたチームの創設が決まったとされる。背景には、イスラエルと親イラン組織ヒズボラの戦闘終結を、最終合意の一部として扱う覚書の内容がある。
レバノン情勢は、米イラン協議の枠組みの中でも緊張を伴う分野である。トランプ米大統領は6月21日、イランがヒズボラの活動をやめさせなければ、イランに再び激しい攻撃を加えるとSNSで警告した。これに対し、イラン側は強く反発し、交渉の進行に影を落とした。
核査察と資金処理でも一致
バンス氏は協議後の記者会見で、イランが核査察の受け入れに応じたと発表した。国際原子力機関の査察官受け入れを巡る協議は、早ければ週内に始まる見通しとされる。米側は、この合意を恒久的な非核化に向けた第一段階として位置付けている。
また、凍結資産の処理や停戦管理の仕組みに関しても合意があった。ロイターは、凍結解除されたイラン資金を米国とカタールが管理し、その資金を米国産のトウモロコシ、大豆、小麦の購入に充てる仕組みが立案されたと伝えた。バンス氏は、これらの合意により、最終的な和平合意を成功させるための基盤が築かれたと説明した。
成果と対立が交錯する局面
今回の協議では、核査察、ホルムズ海峡、レバノン情勢、資金処理、停戦管理という複数の課題で枠組みが示された。仲介国は60日以内の最終合意に向け、技術的協議を続ける方針を確認した。米側は、協議の結果を前向きに評価し、最終合意に向けた土台が整ったと強調している。
一方、政治的な摩擦は解消されていない。トランプ氏の警告に対し、イラン代表団を率いるガリバフ国会議長はSNSで批判を表明した。イラン代表団が反発して議場を離れる場面も報じられており、今後の交渉は成果の具体化と対立の管理を同時に求められる段階に入った。
