米政府が日本の通貨安定策への支援姿勢を明確化
米国のベッセント財務長官は4日、日本が進める円相場の安定化策を支える考えを示した。支援は米国経済と納税者の利益につながる形で実施するとの立場を示し、日米が為替市場の安定に向けて連携を続ける方針を明確にした。背景には、約40年ぶりの水準まで進んだ円安・ドル高と、7月31日に両国が実施した円買いの協調介入がある。米側は今回の対応を一時的な市場操作だけでなく、同盟国との経済協力を示す政策対応として位置付けている。日本の通貨安定を支えることが、米国の市場や企業活動の安定にもつながるとの考えを示した。
円の過小評価が世界経済へ及ぼす影響を警戒
ベッセント氏は、円相場が経済の実態から大きく下振れしている現状に懸念を示した。急速な円安は日本経済への影響だけでなく、各国が自国通貨を意図的に引き下げる競争を誘発する恐れがあると指摘した。こうした為替のゆがみがアジアや世界の市場へ波及するのを防ぐため、円の適正水準への回復を優先課題に挙げた。相場の激しい変動は貿易や投資の意思決定を難しくするため、日米が足並みをそろえて対応する重要性も強調した。円安問題を日本だけの課題ではなく、国際金融の安定に直結する問題と位置付けている。
FIMA活用で最大600億ドルの資金調達も視野
協調介入における米国側の具体的な手法は明らかにしなかった一方、米連邦準備理事会が設けるFIMAレポ・ファシリティの利用に前向きな見方を示した。この制度を使えば、日銀は保有する米国債などを担保にドル資金を確保し、円相場を支えるための対応に充てられる。利用可能額は最大600億ドルとされ、為替市場の安定策を補強する仕組みとして注目されている。日本側が制度の活用を望むことを歓迎し、必要な流動性を確保する選択肢として有効だとの考えを示した。
市場拡大を踏まえFIMA制度枠の見直しを評価
FIMAは2020年に導入されたが、その後、債券市場の規模は大きく拡大した。ベッセント氏は、現在の市場環境に合わせてFRBが制度の上限拡大を検討することには合理性があると述べた。制度の役割については、海外市場の混乱が米国経済へ波及することを防ぎ、変動を国外にとどめるための安全網だとの認識を示した。制度枠の見直しは日本だけを対象とするものではなく、国際金融市場の安定を支える基盤の強化につながるとの見方も示された。
円安是正を軸に欧州当局との緊密な連絡を継続
米国が円買い資金を確保する過程でユーロを売却したことについて、ベッセント氏は欧州の中央銀行を含む関係機関と緊密に連絡していると説明した。対応は外貨準備の配分調整であり、ユーロ相場そのものを誘導する意図はないと強調した。米政府の焦点は円の大幅な下落を修正することであり、高市政権が進める政策と市場対応を支援する姿勢を維持している。円を50億~100億ドル購入する案が記されたメモについては冗談を交えて説明し、具体的な追加措置の内容には踏み込まなかった。今後も日米当局が市場動向を共有し、必要に応じて連携を続ける姿勢が示された。
