富士通がAI半導体「MONAKA」を11月発売、国産サーバーとともに欧州市場開拓へ

新見灯子
经过

AI半導体と国産サーバーを国内外市場へ投入

富士通は9月14日、人工知能の処理に用いる先端CPU「MONAKA」を11月から日本と海外で販売すると発表した。あわせて、MONAKAを搭載する国産サーバーを日本と欧州向けに展開する。AI分野を巡る国際的な技術競争が激しくなるなか、同社は半導体だけでなくサーバーまで組み合わせて提供し、計算基盤を整備する顧客の需要を取り込む方針だ。

製品とシステムを一体で提案することで、国内にとどまらず海外での事業拡大も進める。今回の発表では、CPUの販売地域とサーバーの展開先を明確に分けながら、日本と欧州を主要な市場として位置づけている。

欧州で強まるAI供給網重視の動きにも対応

海外では安全保障の観点から、AI半導体を含む重要技術の供給網を重視する動きが広がっている。特に欧州では、米国や中国への依存を抑えながら独自のAI基盤を確保しようとする機運が高まっている。

富士通はこうした市場環境を踏まえ、MONAKAと国産サーバーを組み合わせた形で欧州にも展開する。AI処理を支える半導体とサーバーの双方を提供し、供給体制を重視する顧客への提案につなげる狙いがある。米中への依存を抑えたい欧州の動きと、日本企業が提供するAI基盤を組み合わせる形となる。

富岳で培った技術をAI推論向けCPUに活用

MONAKAには、スーパーコンピューター「富岳」の開発で蓄積した技術が活用されている。主な対象は、学習を終えたAIが入力された情報をもとに回答を導き出す「推論」と呼ばれる処理だ。

富士通はこの領域で処理性能と省電力性を高め、AI向けの計算処理を効率化する設計とした。富岳で得た技術を新しいCPUへ応用し、AI処理に必要な演算能力を高める点をMONAKAの特徴としている。スーパーコンピューター開発で得た知見を、AIの実用段階で使われる推論処理へ転用した点も今回の製品展開の柱となる。

他社製CPU比2倍の処理能力と省電力を訴求

富士通によると、MONAKAは他社製CPUの2倍の処理能力を備える。同じ量の処理を行う場合、必要なサーバー台数を半分に減らせるほか、消費電力も半減できるとしている。

サーバーの台数と電力使用量をともに抑えられる点は、MONAKAを搭載したシステムの大きな特徴となる。AIの推論処理に必要な性能を確保しながら、設備規模と電力負担を縮小できることを強みとして、国内外での採用拡大を目指す。処理量を維持しつつサーバー数と電力を同時に抑えるという説明は、MONAKAの性能を示す具体的な指標となっている。

TSMCへの製造委託と将来の国内生産も検討

MONAKAの製造は台湾積体電路製造(TSMC)に委託する。富士通は将来的な選択肢として、日本の半導体メーカーであるラピダスへの製造委託も検討している。

現時点ではTSMCの生産基盤を活用しながら、11月から国内外でCPUの販売を始め、日本と欧州では国産サーバーも展開する計画だ。安全保障を背景に供給網への関心が高まるなか、富士通はAI半導体とサーバーを軸に海外市場での需要獲得を進める。

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