全東信破綻で浮かぶ年間30兆円の決済代行市場 経産省が契約時の財務審査強化を要請

新見灯子
经过

全東信破綻を契機に決済代行の実態調査が進展

クレジットカード決済の仲介を手がけていた全東信の経営破綻を受け、決済代行サービスをめぐる取引実態が明らかになった。経済産業省がカード会社などを対象に調査した結果、決済代行事業者を介した年間の取扱高は約30兆円に達していた。日常のカード決済を支える仕組みとして大きな規模を持つ一方、事業者の経営悪化が加盟店やカード利用者に直接影響する実態も表面化した。経産省は今回の事案を踏まえ、取引先の財務面を確認する仕組みの強化を求めている。

年間30兆円に達する決済代行市場の規模が判明

経産省の調査には、クレジットカード会社など266社が回答した。このうち108社が決済代行サービスを利用しており、回答企業全体のおよそ4割を占めた。こうした企業を通じた決済代行の年間取扱高は約30兆円に上り、カード決済の流通を支える重要な役割を担っていることが示された。決済代行会社はカード会社と加盟店の間に入り、代金の受け渡しなどを担うため、1社の経営上の問題が多数の店舗へ波及する可能性がある構造となっている。

カード利用停止や加盟店への未払い影響が拡大

全東信は2026年7月に経営破綻し、その後、一部の加盟店では一時的にクレジットカードを利用できない状況が生じた。さらに、カードで支払われた代金が加盟店へ渡らないケースも発生し、店舗側にも影響が及んだ。全東信は主に飲食店などへ決済代行サービスを提供し、カード会社から入金される前に加盟店へ代金を支払う仕組みで手数料収入を得ていた。こうした資金の流れを担う事業者の経営が行き詰まったことで、決済機能だけでなく加盟店の資金受け取りにも問題が広がった。

経産省が契約時の財務確認と審査徹底を要請

今回の調査結果を踏まえ、経産省はカード会社などに対し、決済代行会社との契約段階で財務内容を確認するよう求めた。サービス内容だけでなく、継続的に業務を遂行できる経営状態にあるかを審査することで、同様の問題を防ぐ狙いがある。全東信の事例では、事業者の破綻がカードの利用環境と加盟店への支払いの双方に影響したため、契約時点から経営上のリスクを確認する重要性が浮き彫りになった。カード会社側に対しても、取引先を選定する段階での管理を一段と徹底することが求められる。

規制強化より取引管理の徹底で再発防止図る

経産省は現時点で、決済代行会社に対する新たな規制を直ちに強めるのではなく、取引企業側による審査の充実を重視している。担当者は、規制を厳格化すれば加盟店が負担する手数料の上昇につながる可能性があるとの考えを示した。そのうえで、カード会社などへの今回の要請によって一定の再発防止効果が見込めるとしている。約30兆円という大規模な決済を扱う市場だけに、サービスを継続できる財務基盤を取引前に確認する対応が、決済網の安定を維持するうえで重要な課題となっている。

この記事をシェア