イタリアが約40年の脱原発政策を転換、SMR導入に向け政府が新たな法整備を本格化へ

槇原 直央
经过

約40年続いた脱原発路線を転換するイタリア

イタリアで、長く続いてきた脱原発政策を見直す動きが正式に進み始めた。上院は9月23日、原子力発電の再導入に必要な制度づくりを政府に委ねる法案を賛成多数で可決し、法案は成立した。これにより政府は、新たな原発の建設を可能にする制度整備へ移る。

イタリアでは1986年のチョルノービリ原発事故を受けて原発への反対が広がり、1990年までに国内の原発はすべて運転を終えた。その後は約40年にわたり、原子力に依存しないエネルギー政策を続けてきた。今回の法成立は、その基本方針を大きく改めるものとなる。

原発再導入を可能にする法整備が正式に始動

成立した法案によって、政府は原発再導入に向けた具体的な制度を構築できるようになった。政府は今後12か月以内に、原子力規制機関の設置や安全基準などに関する法令を整える。新たな原発を建設するための制度面の土台を先に整備する方針だ。

制度づくりでは、安全規制と監督体制の整備が重要な柱となる。これまで原発を停止してきた国が再び原子力を利用するため、運営や監督の仕組みを新たに構築する必要がある。法成立によって、再導入に向けた準備は政策検討の段階から制度整備の段階へ進んだ。

小型モジュール炉を軸に新設計画を進める方針

政府が導入を想定しているのは、小型モジュール炉と呼ばれるSMRなどの次世代型原子炉だ。従来型の大型原発より建設や運用にかかる費用を抑えられることが期待されている。量産体制が整えば、2034〜35年ごろから稼働できるとの見通しも示されている。

今回の方針は、過去に停止した原発をそのまま再稼働するのではなく、新しい技術を使った発電設備を整備する考えに基づく。原発導入の再開と同時に、技術面でも従来とは異なる選択肢を採用する形となる。今後の制度整備は、こうした次世代原子炉の導入を前提に進められる。

エネルギー価格高騰が政策転換の背景に浮上

政策見直しの背景には、エネルギー供給と価格をめぐる環境の変化がある。イタリアは原発廃止後、エネルギーを国外からの輸入に依存してきた。2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州では天然ガスの調達環境が変化し、イタリアの電気料金も欧州で高い水準となった。

こうした負担は家計だけでなく産業にも及んでいる。メローニ政権は2023年から原発回帰に向けた調整を進め、エネルギー供給の安定と価格への対応を政策課題としてきた。今年6月の世論調査では、原発再導入に賛成する回答が57%に達した。

2034〜35年の稼働を視野に準備段階へ

法案の成立によって、イタリアの原発再導入は具体的な制度づくりへ進むことになった。今後は12か月以内に規制機関や安全基準に関する法令を策定し、その後の新設に向けた環境を整える。政府はSMRを中心とする次世代型原子炉の活用を想定している。

約40年続いた脱原発からの転換は、イタリアのエネルギー政策にとって大きな変更となる。量産体制などの条件が整えば、2034〜35年ごろの稼働が視野に入る。原発再導入に向けた取り組みは、法整備を起点に次の段階へ移った。

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