プルデンシャル生命の不正受領52億円に拡大、調査で浮かんだ営業体制の構造的欠陥

篠宮 文香
经过

顧客からの不正受領が52億円に拡大した問題の全容

プルデンシャル生命保険は10月8日、営業社員や元社員による顧客からの不適切な金銭受領について、確認された金額が約52億円に達したと発表した。従来公表していた37億円から大幅に増加し、長期間にわたる不正の規模が明らかになった。

同社は東京都内で記者会見を開き、外部弁護士で構成する調査委員会の報告書を公表した。調査では個々の社員による違反行為に加え、営業活動を支える報酬体系や組織運営にも問題があったことが判明した。

得丸博充社長は、生命保険事業に対する信用を損なう事態を招いたことについて謝罪した。経営上の仕組みに起因する問題だったと認め、組織全体の見直しを進める方針を示した。

1992年以降の不正を調査し関与者159人を確認

今回の調査は、社員や元社員が顧客から金銭をだまし取るなどの問題が相次いで判明したことを受け、2026年2月から進められていた。調査報告書では、1992年以降の不適切な金銭受領に159人が関与したとされている。

顧客から寄せられた申告を集計すると、対象者は794人、金額は約61億円に上った。このうち会社側が調査を通じて確認した金額が約52億円となった。申告された総額と確認済みの金額には約9億円の差がある。

会社は不正に関わった営業社員と元社員の計157人について、懲戒解雇などの処分を実施した。問題は特定の時期や少数の担当者に限らず、長年にわたり組織内で発生していた。

契約獲得を優先する報酬制度と顧客管理の問題点

調査委員会は、不正が生じた背景として、営業実績を重視する経営方針と社内の評価制度を挙げた。新規契約の獲得が報酬に強く反映される仕組みの下で、顧客の利益や法令順守への配慮が十分ではなかったと指摘した。

また、営業担当者と顧客の個人的な信頼関係に依存する営業手法にも問題があった。担当者と顧客のやり取りが外部から把握しにくい状況となり、不適切な金銭授受を早期に発見することが難しくなっていた。

報告書は、同社の事業運営に存在していた危険性が実際の不正として表面化したと分析した。営業社員個人の行動だけでなく、管理職による監督や経営陣の統制にも課題があったと結論付けた。

得丸社長が謝罪し経営幹部3人の報酬返納を表明

得丸社長は記者会見で、一連の問題について経営陣が重い責任を負うとの認識を示した。顧客や関係者に謝罪するとともに、再発を防ぐためには社員の行動や組織文化を根本から改める必要があると説明した。

経営責任を明確にする措置として、得丸社長を含む幹部3人が月額報酬の30%を3カ月間、自主的に返納することを決めた。営業現場だけでなく、経営側も今回の問題を受けた対応を取る。

調査報告書では、営業社員を監督する管理体制の不十分さも問題視された。会社は管理職の職務と責任範囲を整理し、営業活動への監督を強化する方針を打ち出した。

営業制度の再構築と新規保険販売の再開判断へ

プルデンシャル生命は再発防止策として、2027年から営業社員に最低保証給を導入する。契約獲得数に左右されやすい従来の給与体系を改め、収入の安定性を高める制度へ移行する。

さらに、販売手数料の支給期間を4年から7年へ延ばし、契約後の顧客対応に対する報酬の割合も引き上げる。新規契約だけでなく、既存顧客との継続的な関係を評価する仕組みを整える。

同社は2026年2月から新規保険販売を自粛している。今後は社内基準を満たし、営業活動の健全性が確認された社員に限定して再開する方針だが、会社全体としての再開時期は未定となっている。金融庁も一部業務停止命令を検討しており、同社の営業体制は引き続き見直しの対象となる。

この記事をシェア