欧州7カ国のスーパーで冷蔵設備にサイバー攻撃、食品大量廃棄と店舗営業に影響広がる

倫太 笠井
经过

欧州各地の食品販売店で冷却設備の異常が相次ぐ

ベルギー、スウェーデン、ルクセンブルクなど欧州7カ国で11月2日、食品販売店の冷蔵・冷凍設備が正常に作動しなくなる事態が発生した。影響は数十店舗に及び、商品の保存に必要な温度を維持できなくなった店舗では、大量の食品を処分する対応に追われた。

被害が確認されたのは、ベルギー、ルクセンブルク、スウェーデン、アイルランド、オランダ、エストニア、フィンランドの7カ国。複数の小売業者が設備への不正な操作を報告しており、サイバー攻撃が原因とされている。

一部の冷凍設備では内部の温度が50度に達した。冷却機能を失った店舗では、食品の品質を保てなくなったため、販売を取りやめる動きが広がった。

ベルギーの大手小売チェーンで商品廃棄が拡大

ベルギーでは、食品スーパーのデルハイゼがルクセンブルクと合わせて約40店舗で影響を受けた。同国フランドル・ホイラールトの店舗では、廃棄対象となった青果物の価値が10万ユーロ、日本円で約1770万円に上った。

この金額には営業を中断したことによる損失は含まれておらず、商品廃棄以外にも経営上の影響が生じている。

フランス系小売大手カルフールも、ベルギー国内の15店舗で問題が発生したと明らかにした。同社は営業を維持するための措置を実施したという。

また、食品小売りチェーンのスパーでは5店舗の冷却設備が被害を受けた。家具販売大手イケアも、ベルギー西部モンスの店舗で同様の問題が起きたことを確認している。

北欧やアイルランドでも冷凍食品の販売に支障

スウェーデンでは、食品スーパーのICAとコープが設備の異常に見舞われた。南部ショーボのICA店舗では、冷蔵庫と冷凍庫の設定温度が50度に変更されていたことが確認され、一時的に営業を停止した後、再開した。

コープでは国内約800店舗のうち7店舗に影響が及んだ。同社はその後、問題を管理できる状態になったと説明している。

アイルランドでは、スーパーヴァリューの13店舗で冷蔵設備が正常に機能しなくなった。影響は特定の種類の機器に限定されており、一部店舗では冷蔵品や冷凍品の販売が一時的に制限された。

フィンランドのKストアでも設備の故障が確認され、専門担当者が原因の調査を進めている。

遠隔管理システムへの侵入で冷却機能に障害

今回の問題では、インターネットを通じて管理される冷蔵・冷凍設備が攻撃対象となった。欧州の食品販売店では、設備の状態確認や保守作業を離れた場所から行える仕組みが広く利用されている。

ベルギーの設備関連企業サブコベルは、被害を受けた機器の一部で霜取り機能が作動し、庫内温度が上昇したと説明した。同社は問題のある設備を通信網から切り離す作業を夜間に実施した。

また、デンマーク企業ダンフォスの温度制御技術を採用した設備にも被害が確認された。オランダでは少なくとも17社の冷却システムが影響を受け、精肉店や小規模商店にも問題が広がった。

各国当局が被害状況を確認し攻撃経路を調査

ベルギーとスウェーデンのサイバーセキュリティー当局は、今回の事態について監視を続けている。英国の専門機関も、国外の関係組織や業界団体と連携して情報収集を進めている。

欧州では10月にもフランスの数百店舗で冷却設備を狙った攻撃が発生した。当時は数百万ユーロ相当の食品が処分されたとされ、今回との手口の共通性が指摘されている。

サブコベルは、設備を保護するためにはソフトウェアの更新だけでなく、機器そのものの改修も必要だとしている。

現時点で攻撃を実行した人物や組織は特定されていない。複数国にまたがる被害の全容と、設備の安全性を確保するための対応が引き続き調べられている。

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