防衛財源確保に向けた増税の検討が本格化
政府・与党は、防衛力の強化に必要な財源を確保するため、法人税や所得税などの増税を2026年4月から段階的に実施する案を検討している。この増税は、2027年度以降に不足する約1兆円の財源を確保するためのもので、法人税、所得税、たばこ税を対象とする。特に所得税の増税に関しては、国民の可処分所得への影響を懸念する慎重な意見もあり、今後の議論が注目される。
法人税は2026年4月から4%の付加税を導入
法人税の増税については、2026年4月より「防衛特別法人税」として、納税額に4%の付加税を課す方式で実施される。この措置により、企業の税負担は増加することが予想されるが、政府は財源確保のためには不可欠と説明している。
法人税増税の影響については、特に中小企業への負担増加が懸念されており、与党内でも慎重な議論が進められる見込みだ。一方で、防衛力強化のための安定した財源確保の重要性も強調されており、今後の協議の行方が注視される。
所得税は2027年1月から1%増税 復興特別所得税も調整
所得税については、2027年1月から「防衛特別所得税」として、納税額に1%の付加税を課す方針が示された。これと同時に、東日本大震災の復興財源として導入された「復興特別所得税」の税率を1%引き下げることで、全体的な税負担を調整する方針だ。ただし、復興特別所得税の課税期間は延長されるため、長期的な影響についても議論が続く見込みである。
与党内では、所得税の増税が家計に与える影響を懸念する声もあり、特に可処分所得の減少が景気に及ぼす影響について慎重な意見が出ている。
たばこ税も2026年4月から引き上げ 段階的な増税を実施
たばこ税に関しては、2026年4月から加熱式たばこの税率を引き上げ、紙巻きたばことの税率差を解消する。その後、2027年4月から3年間にわたり、たばこ1本当たり0.5円ずつ段階的に増税する計画だ。これにより、たばこ税の負担は年々増加することが予想される。
政府は、たばこ税の増税が健康促進の観点からも意義があると説明しているが、喫煙者への影響や消費の減少による税収の推移については引き続き注視する必要がある。
今後の議論の行方 国民民主党との協議も予定
防衛増税に関する政府・与党の案は、今後さらに検討が進められ、意見の集約が行われる予定だ。また、国民民主党とも協議を行い、最終的な実施方針を固めていく考えだ。特に所得税の増税については、国民の生活への影響が大きいため、慎重な調整が求められる。
防衛力強化と国民負担のバランスをどう取るかが、今後の議論の焦点となる。政府・与党は、国民の理解を得るための説明を強化しつつ、最終的な増税計画の決定に向けた調整を進めていく方針だ。