販売不振とコスト高騰が継続断念の要因に
1959年から続くキユーピーの乳幼児向け食品事業は、2026年8月末をもって全商品(計72品目)の生産を終えることが決まった。販売も順次終了となる。同社によれば、業績不振に加え、原材料やエネルギー価格の高騰が大きな負担となったという。
競争激化でブランドの存在感が後退
かつてベビーフード市場で一定の地位を築いていたキユーピーだが、昨今は新興メーカーや専門ブランドの台頭により競争が激化。多様化する消費者ニーズに十分対応できなかったこともあり、売上が伸び悩んでいた。市場環境の変化に伴い、同社のシェアは縮小していたと見られる。
品質維持との両立が困難との判断
キユーピーは、「品質を保ちながら継続的な供給を維持することが難しくなった」として、生産終了の決断に至ったことを公表した。同社は長年にわたり、子育て世代の食生活を支える製品を提供してきたが、現状の経済条件では安定した事業運営が見込めないとしている。
今後の方針と影響範囲の見通し
今回の決定により、国内のベビーフード市場は再編が進む可能性がある。他メーカーへの需要の集中や、流通現場での供給体制の見直しが迫られる。キユーピーはベビーフード以外の事業に経営資源を集中させる意向とみられるが、育児支援分野での貢献は今後大きな課題となる。
半世紀以上続いたブランドの節目
65年間にわたり支持されてきたキユーピーのベビーフードは、子どもを持つ家庭にとってなじみ深い存在だった。今回の撤退は時代の変化を象徴する出来事とも言え、食育や子育ての現場に一定の影響を与えると考えられる。