有事のリスクに反応するも下げ幅は限定
週明け6月23日の東京市場では、日経平均株価が前週末比で小幅に下落し、終値は38,354円となった。米国がイランの核施設を空爆した報道により地政学リスクが強まり、寄り付きは売りが先行したが、円安進行がこれを相殺。為替は1ドル=147円台に達し、企業収益へのプラス期待が相場を下支えした。
原油高と為替動向が市場に与えた影響
中東の緊張に伴い、原油価格が急騰。通常であればインフレ懸念により株価の下押し要因となるが、今回は円安の追い風がこれを相殺した形だ。一時は376円安まで下落した日経平均も、後場には買い戻しが入り、38,000円の節目を割ることなく下げ渋った。
米国市場の動向と東京市場の連動性
前週末の米株市場は、中東情勢の緩和期待からダウ平均が小幅反発した。英国、フランス、ドイツが外交的介入に乗り出すとの報道が市場心理をやや改善させたが、トランプ大統領が引き続き軍事行動を示唆したことから、上値は重かった。特にナスダックは半導体規制強化観測により下落し、東京市場のハイテク株にも影響を与えた。
国内政治イベントは市場に無風
東京都議選では、自民党が歴史的な敗北を喫したが、これは事前の予測通りであり、市場は冷静に反応。政治的不確実性への警戒感は広がらなかった。むしろ、選挙結果が相場に影響を及ぼす材料とならなかったことは、市場の安定性を示す一因ともいえる。
投資家心理は地政学的耐性を獲得か
これまでであればリスク回避に大きく振れた可能性もあるが、今回の下落は小幅にとどまった。これは市場参加者が中東リスクを一定程度織り込んでいる証左でもあり、東京市場における地政学的耐性の強化を示唆する動きとなった。