民主党予備選で若手候補が予想外の勝利
6月24日に実施されたニューヨーク市長選の民主党予備選で、33歳の州下院議員ゾーラン・マムダニが当選見通しとなった。開票率96%時点で得票率は**43.5%と、有力視されていた元州知事アンドリュー・クオモ氏(36.4%)**を上回った。これにより、民主党の地盤である同市では、マムダニ氏が本選でも最有力とみなされている。
元知事クオモ氏、スキャンダルが失速の一因に
クオモ氏は2021年にセクハラ問題で辞職した過去を持ちつつも、長年の政治経験と高い知名度から再起が注目されていた。ビル・クリントン元大統領の支持も受けていたが、有権者の信頼回復には至らず敗北を受け入れた。AP通信は今回の対決を「民主党内の理念対立の象徴」と分析している。
マムダニ氏、移民と若者層の支持を集める
インド系移民の家庭に育ったマムダニ氏は、イスラム教徒として同市で初の市長を目指す。選挙戦ではTikTokをはじめとしたSNSを積極的に活用し、市営バスの無償化や所得再分配政策を掲げて若者層の共感を得た。バーニー・サンダース上院議員やアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員らの支援も彼の勢いを後押しした。
市政の構図が大きく変わる可能性
現職のエリック・アダムズ市長は民主党内の支持低下と汚職疑惑を背景に予備選への出馬を断念。無所属で本選に挑む構えを見せており、市政運営の枠組み自体が大きく動く可能性がある。また、共和党からは防犯団体の創設者カーティス・スリワ氏が立候補予定だが、民主党が強固な基盤を持つため勢力図に大きな変化は見込まれていない。
投票結果が象徴する政党内の分裂
今回の選挙結果は、民主党内で進行する急進左派と中道派の分断を如実に表している。大企業課税や福祉重視政策に対する支持と懸念が交錯し、ウォール街や富裕層はマムダニ氏を警戒している。ニューヨークという全米でも影響力の大きい都市での選挙結果は、今後の全国政局にも一定の影響を及ぼす可能性がある。