若年層狙ったSNS副業勧誘に苦情が急増
全国の消費生活センターに、SNSを通じた副業勧誘に関する苦情が急増している。2023年から2025年4月にかけて、株式会社「和」に関する相談は110件に達した。中心となったのは20代の若年女性で、短期間で高収入を得られるとの甘言により、借金までして契約した例が複数報告されている。
報酬を断言する誇大広告が問題に
勧誘では「契約額を上回る報酬が得られる」などと断定的な文言が使われていた。LINEアカウントへの誘導後、アフィリエイト形式の副業を始めるよう促され、60日で250万円という高額サポートプランを契約させる手口だった。しかし、消費者庁によると、そうした報酬が実際に得られた事例は確認されていない。
実績ゼロで1億5千万円の支払い発生
被害額は極めて大きく、契約者のうち少なくとも81人が実際に金銭を支払っていたことが明らかになった。支払総額はおよそ1億5千万円にのぼり、なかには消費者金融から借金してまで支払いに応じた例もある。多額の前払いを求める手口は、典型的な詐欺的ビジネスモデルと酷似している。
解散済み企業に対する異例の社名公表
消費者庁は26日、消費者安全法に基づき、社名と代表者名を公表した。対象となったのは既に解散登記されている株式会社「和」(東京都新宿区細工町)で、代表者は遠藤友里子氏とされている。企業の実体がすでに消滅しているにもかかわらず、同庁が社名を公表するのは異例の措置である。
消費者庁が若年層への注意喚起を強化
今回の事案を受け、消費者庁はSNSを利用した副業詐欺に対する警戒を強めている。特に若年層に対しては、断定的な高収入の約束や短期間で稼げるという文言に対して警戒するよう呼びかけている。今後も同様の事例が発生する恐れがあることから、早期の情報提供と注意喚起が求められる。