中国軍艦が独軍機に無通告でレーザーを照射
2025年7月初旬、紅海上空で通常任務中だったドイツ軍の航空機に対し、航行中の中国海軍艦艇が事前通告なしにレーザーを照射したことが明らかになった。該当の航空機はEUの海上防衛作戦「ASPIDES」に参加していた偵察機で、任務は紅海を航行する商船の安全確保にあった。
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ドイツ外務省が中国大使を召喚し強く抗議
この行為に対し、ドイツ外務省は7月8日に駐独中国大使を召喚。外交的な抗議の意を示すとともに、「ドイツ人員を危険に晒す行為は断じて容認できない」との立場を公式X(旧Twitter)上で表明した。ドイツ政府は今回の行為をEUの安全保障活動に対する妨害とも捉えており、国際的な関係に影を落としている。
独軍機は任務中断後にジブチへ着陸、被害はなし
レーザー照射を受けた独軍機は、危険回避措置として任務を中断し、ジブチの基地に安全着陸した。乗員に人的被害はなかった。その後、EU作戦「ASPIDES」の偵察任務は再開されているが、類似事案への警戒感が高まっている。
EU主導「ASPIDES」の任務と中国側の沈黙が波紋呼ぶ
「ASPIDES」作戦は、イエメンのフーシ派による紅海での商船攻撃への対処を目的としており、EU加盟国の連携の下で2023年から続けられている。ドイツはその一環として定期的に航空偵察を行っていた。中国側は現時点で本件についてコメントを出しておらず、沈黙を続けている。
安全保障上の緊張要因として波紋が広がる可能性
今回の一件は、国際的な海域における軍事的緊張の一例として注目を集めている。特に、中国と欧州諸国の間で安全保障上の対立が表面化する兆候とも見られ、将来的な欧中関係の悪化を懸念する声も出始めている。今後の外交対応と国際的な反応が焦点となる。