国内産業強化と防衛拡充を前提とした人事構想
ゼレンスキー大統領は7月14日、自身のSNSを通じて、スビリデンコ第1副首相兼経済相に対し、次期首相就任を打診したと公表した。背景には、ウクライナ国内の経済基盤強化と兵器製造体制の整備を急ぐ思惑がある。とりわけ国内生産能力の向上は、長期的な戦争継続を支える鍵と位置づけられている。
資源外交での実績が人事決定に影響
米ウクライナ間で結ばれた経済連携協定において、国内資源の共同開発を巡る交渉を取りまとめたのがスビリデンコ氏である。この交渉経験が国際社会での信頼獲得につながり、政権の要職としての地位を確保する後押しとなった。
国際イベントでの発信力にも期待集まる
スビリデンコ氏は2024年12月に日本を訪問し、ウクライナ復興支援を議題とする会議に出席した。また、2025年8月開催予定の大阪・関西万博における「ウクライナ・ナショナルデー」にも参加の意向を示しており、国際的発信の要としての期待も高い。
大使交代と国防相の起用で米政権との接近図る
ゼレンスキー政権は、内閣改造の一環として、駐米大使を交代させる方針を示している。後任には、現職のウメロフ国防相の起用が検討されており、米国とのパイプを強化する意図が読み取れる。特にトランプ政権との関係再構築が喫緊の課題となっている。
対米関係の戦略的再構築が最重要課題に
一連の人事や外交方針の転換は、トランプ政権下のアメリカとの信頼関係の再構築を最優先課題とするゼレンスキー政権の姿勢を示している。ウクライナが長期戦に備える体制構築を進める中、政治的安定と外交的柔軟性の両立が求められている。