検査拒否を受けた公安の告発で警察が動く
埼玉県越谷市にあるマンションの一室が、団体規制法違反の疑いで捜索を受けた。対象となったのは、オウム真理教元代表・松本智津夫(麻原彰晃)元死刑囚の妻と次男が居住する部屋で、捜索は2025年4月に埼玉県警によって実施された。背景には、同年3月に公安調査庁が行おうとした立ち入り検査が拒否されたことがあり、同庁の告発を受けて警察が捜査に着手した。
部屋の複数箇所から多額の現金を発見
家宅捜索の結果、部屋の中からは複数の場所に分散して保管されていた現金数千万円が見つかった。現金の正確な出所や用途については現在も調査中であり、警察および公安当局は詳細な資金の流れを追っている。元死刑囚の家族に関連する家宅捜索が行われるのは極めて異例の事態とされ、社会的な関心が集まっている。
観察対象となっているオウムの後継団体
オウム真理教は過去の事件後、名称を変えて活動を継続している。現在、主に「アレフ」「ひかりの輪」「山田らの集団」の3団体に分かれており、いずれも「無差別大量殺人行為に及ぶ危険性がある」として団体規制法に基づく観察処分の対象となっている。公安調査庁は各団体に対し、信者数や資産状況などの報告を義務付け、随時施設への立ち入り検査を実施している。
アレフは資産の一部を報告せず処分継続中
公安審査委員会は、アレフが20歳未満の信者の情報や一部の資産を適切に報告していないことなどを理由に、2年前から「再発防止処分」を適用している。この措置により、全国にあるおよそ20の施設のうち16施設で使用が制限されている。2024年2月時点でアレフが保有していた未報告の資産は少なくとも7億円とされている。
賠償命令にもかかわらず支払いは進まず
オウム真理教が引き起こした事件の被害者支援を目的とした「オウム真理教犯罪被害者支援機構」は、アレフに対し賠償金の支払いを求めて訴訟を起こし、2020年に約10億円の支払いを命じる判決が確定している。しかし、団体が報告する資産は年々減少し、2025年2月時点で約6,100万円となっており、支払いの履行はほとんど進んでいない。