違法性の認識をめぐりスポーツ庁が対応
スポーツ庁は7月23日までに、日本オリンピック委員会(JOC)や全国の競技団体に対し、オンラインカジノに関連する広告出演についての注意喚起を発出した。国内ではオンラインカジノの利用は明確に違法とされており、広告活動も違法性を助長する恐れがあるとの見解を示した。特に選手や指導者といった競技関係者への認識浸透を図る必要があるとされている。
海外拠点の選手にも出演回避を求める方針
今回の通知では、日本国内に限らず、海外を拠点とする日本人選手に対しても注意を促す内容が盛り込まれた。仮に合法とされる国であっても、日本人選手が広告に登場することで、日本国内における違法行為の正当化と誤解される可能性があるためだ。スポーツ庁は各競技団体に対し、海外在住選手への周知徹底を要請している。
社会的影響力のある人物の責任に着目
スポーツ庁の担当者は、有名選手が広告塔として登場することで、一般市民に「問題ない」という印象を与えかねないと指摘。競技成績だけでなく、公共的な立場としての自覚と行動が求められている。実際、影響力の大きな選手による広告出演は、若年層を中心に強い影響を及ぼすことが過去の事例からも明らかになっている。
違法行為への誘導と見なされる事例も
オンラインカジノに関連する情報発信そのものが、違法賭博への誘導と見なされる場合がある。スポーツ庁は、広告出演の有無にかかわらず、SNSなどを通じた情報提供にも慎重になる必要があると強調している。特に若年層をフォロワーに持つインフルエンサー的存在の選手には、法令遵守の意識を求めている。
スポーツ界全体への信頼維持が課題に
今回の通達は、個々の競技者だけでなく、スポーツ界全体の信頼維持にも関わる問題として捉えられている。国際舞台で活躍する日本人選手が、自らの影響力をどのように使うかは、国内外の評価にも直結する。スポーツ庁は引き続き各団体と連携し、健全な競技環境の整備に努める構えだ。