金利を2.75%で維持した決定の背景
カナダ銀行は7月30日の会合で、政策金利を2.75%に据え置いた。これで3会合連続の据え置きとなる。中央銀行は、世界的な貿易摩擦の激化リスクが以前よりも和らいだと指摘したが、国内経済の不安定さを踏まえ、慎重な金融政策を続ける姿勢を示した。
米国貿易政策の不透明性が影響
中銀は米国の貿易政策に関する不確実性を主要な懸念要因として挙げた。これを受け、経済見通しの詳細な公表を2四半期連続で見送った。マックレム総裁は「米国の動向が今後の金融政策判断に大きな影響を及ぼす」との見方を示した。
インフレと経済成長の現状
総裁は、カナダ経済は「一定の回復力を持つ」と評価しつつも、基調的なインフレ圧力は残存していると述べた。インフレ率は目標の2%に接近しており、物価の安定を維持しながら成長支援を行うことが課題とされる。
シナリオ分析による経済予測
中銀は詳細な予測の代わりに、3つのシナリオを提示した。既存関税の維持では、GDPが第2四半期に1.5%減、下半期に1%増となり、2027年には1.8%増と予想した。関税引き下げでは成長改善、引き上げでは経済弱体化とコスト上昇が懸念されるとした。
経済減速時の金融緩和の必要性を指摘
マックレム総裁は、経済の弱体化や貿易の混乱によってインフレ圧力が低下した場合、利下げが必要になる可能性を認めた。中央銀行は今後も関税動向やインフレ指標を注視し、柔軟な政策対応を行う姿勢を強調した。