首脳会談を巡り高まる和平交渉の焦点
8月15日にアラスカで予定される米ロ首脳会談を前に、ウクライナと欧州の主要国は、和平交渉にはウクライナの参加が不可欠だとする立場を再度明確にした。米国が提示する停戦案やロシアの条件が伝えられる中、領土を巡る双方の主張の隔たりが鮮明になっている。
ゼレンスキー大統領が強調する即時和平の必要性
ゼレンスキー大統領は9日のビデオメッセージで、和平は「将来の一時的停戦ではなく、直ちに持続的な形で実現すべき」と述べた。米国の提案にこれまで全面的に賛同してきたとしつつも、領土譲渡を伴う案には断固として反対の立場を表明した。プーチン大統領が求める条件は、東部地域の恒久的支配を合法化するものだと批判した。
欧州諸国が発表した共同声明の内容
英国、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、フィンランドと欧州委員会は同日夜、ウクライナ抜きでの和平決定は認められないとする共同声明を発表。武力による国境変更を否定し、外交・軍事・財政面での継続支援を約束した。マクロン大統領はSNSで「欧州の安全保障に関わる問題」とし、欧州の参加の必要性を訴えた。
ロシア側要求と欧米の調整
米紙報道によれば、プーチン大統領はウクライナ軍のドネツク、ルハンスク州からの完全撤退を要求。一方でヘルソン、ザポリッジャ両州の扱いは明示されていない。米政府は、クリミアやドンバス地域のロシア支配を容認する代わりに一部地域を返還する停戦案を提示し、欧州各国の支持を得ようとしている。
会談に向けた今後の見通し
米国は依然として3カ国間合意の可能性を模索しており、ゼレンスキー大統領の関与も排除されていない。トランプ大統領は「ゼレンスキー氏が必要とするものを全て手に入れるべき」と述べ、合意形成に向けた努力を強調した。だが、領土問題での隔たりが解消される兆しは見えていない。