事件の概要と現場の状況が判明
神戸市中央区のマンションで20日、会社員 片山恵さん(24) がエレベーター内で刃物により刺殺された。警察は東京・新宿区の会社員 谷本将志容疑者(35) を逮捕し、経緯の解明を進めている。防犯カメラには片山さんの帰宅を追い、谷本容疑者とみられる人物が敷地内に侵入する様子が記録されていた。
オートロック突破の手口が映像で判明
現場のマンションはオートロック式の自動扉を備えていたが、谷本容疑者は片山さんの後を追い「共連れ」と呼ばれる手口で侵入していた。エントランスの扉は十数秒で閉まる仕組みだったが、容疑者は閉じる直前にすり抜け、片山さんはその行為に気づかなかった可能性が高い。その後、同じエレベーターに乗り込み襲撃に及んだとされる。
容疑者の行動と供述の内容
谷本容疑者は事件の3年前まで神戸に居住しており、現在の勤務先にも神戸での職歴を説明していた。今月17日から休暇を取り現場近くのホテルに滞在していたことも判明している。取り調べでは「刺したことは認めるが、殺意については分からない」と一部否認し、被害者を「面識のない人物」と述べている。
被害者の人物像と職場での評価
片山さんは2023年に保険会社へ入社し、営業職として勤務していた。明るい性格と高いコミュニケーション能力で周囲から信頼を得ており、職場関係者は「人当たりの良い社員だった」と証言している。突然の事件は同僚や地域社会に大きな衝撃を与えている。
防犯意識と多層的な対策の必要性
専門家は、オートロック突破の脆弱性を指摘しつつ、「絶対に安全な仕組みは存在しない」と強調している。周囲を確認する、二人きりの状況を避ける、エレベーターで不審者を感じた場合は別の階で降りるなど、複合的な対応の重要性を説いている。今回の事件は、都市部での防犯対策の在り方を再考させるものとなった。