加入者数の減少が判明
厚生労働省のまとめによれば、2023年度の国民健康保険加入者は2,309万人に減少した。前年度から104万人減となり、過去最少を更新した。団塊世代の一部が75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度に移行したことが大きな要因とされる。加入者の減少は保険料収入に直結し、制度運営に厳しい影響を及ぼした。
保険料収入の減少が続く
国民健康保険の保険料収入は2兆3,697億円となり、前年度より816億円減少した。減少は10年連続であり、構造的な問題が浮き彫りになっている。また、1人当たりの保険料は10万997円と初めて10万円を超えた。所得が低い層が多い国保加入者にとって負担が重くなっており、制度の持続性に懸念が強まっている。
医療費支出と赤字額の拡大
医療費を賄う保険給付費は8兆5,315億円で前年度より929億円減少したが、収支改善には至らなかった。全体の実質赤字額は1,803億円で、前年より736億円増加し、3年連続の赤字となった。財政の逼迫は制度存続の課題を改めて浮き彫りにしている。
地域ごとの納付率の格差
保険料の納付率は全国平均で94.20%だった。最も高いのは島根の96.77%で、大分(96.34%)、佐賀(96.19%)が続いた。一方、東京は91.52%と最も低く、都市部と地方で納付状況に差が見られた。納付率の改善は財政安定化の重要な要素とされている。
後期高齢者医療制度の黒字発表
同時に発表された後期高齢者医療制度の収支は3,490億円の黒字だった。加入者数は1,989万人に達し、前年度から64万人増となった。医療給付費は17兆3,367億円で前年より5.2%増。高齢化の進展で国保と後期高齢者医療制度の財政状況には対照的な結果が示された。