国内投資減税の導入検討が進展
経済産業省が2026年度からの税制改正に向け、国内設備投資を対象とした新たな優遇制度の導入を進めている。投資額の一定割合を法人税から控除する仕組みを軸とし、企業規模を問わず幅広い業種の投資意欲を引き出す狙いが示された。現行制度に限定されがちな分野を超えて、大規模な製造工場やソフトウェア開発まで適用範囲を広げる方向だ。
即時償却の延長要望が判明
中小企業を中心に活用されてきた「即時償却」についても延長が検討されている。通常は複数年に分けて計上される減価償却費を、初年度に全額経費化できる特例措置を2年間延ばす方針だ。これにより資金繰りを改善し、新たな投資サイクルを後押しする効果が期待されている。さらに、減価償却資産の基準額引き上げも要望の中に含まれている。
米国とドイツの政策が日本に影響
今回の取り組みの背景には、米国やドイツの積極的な投資優遇政策がある。米国では7月に即時償却を恒久化する法律が成立し、ドイツも460億ユーロ規模の減税法案を可決した。欧米諸国の競争的な投資支援策に対し、日本が後れを取れば企業の投資先が海外に流れる懸念が強まり、経済成長に影響を及ぼす可能性がある。
高関税による投資停滞への対応
米政権による高関税政策は、日本企業の国内投資に直接的な影響を与えている。特に電気自動車関連のプロジェクトでは、中止や延期が相次ぐ状況だ。経産省はこうしたリスクに対応するため、国内の投資環境を改善し企業の競争力を維持する方針を明確にした。
新税制実現へ向けた政治的調整の行方
政府は2040年度に官民で200兆円規模の国内投資を目標に掲げているが、今回の新税制の導入には国会での合意が必要となる。与党が参院選で議席を減らした影響もあり、野党の理解を得ることが不可欠だ。年末に向けた税制改正の議論では調整の難航が予想され、実現に向けた政治的課題が浮上している。