政府方針転換で輸出規制緩和が焦点に
日本政府が防衛装備品の輸出規制を抜本的に見直す方針を明確にした。小泉進次郎防衛相は10月22日、防衛省で行った職員訓示で、現行の輸出制限制度を「積極的に検討し、見直す」と表明した。対象を限定してきた「5類型」を撤廃する方向が打ち出され、戦後の防衛政策における大きな転換点となる見通しだ。
5類型撤廃を盛り込んだ連立合意の影響
防衛装備品の輸出は現在、「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の5用途に限られている。殺傷能力を持つ攻撃用兵器は対象外とされ、実質的な輸出は極めて限定的だった。しかし、自民党と日本維新の会が10月20日に締結した連立合意では、この「5類型」を2026年通常国会中に撤廃することが明記された。連立政権の発足を受け、これまで慎重姿勢を崩さなかった防衛省内の空気も変化しつつある。
小泉氏が強調する防衛産業強化と安全保障
小泉防衛相は「公党間の合意は重い。実現に向け努力するのは当然だ」と強調し、輸出拡大を通じた防衛産業の発展を訴えた。さらに、「日本にとって望ましい安全保障環境を創出するための重要な政策的手段」と位置づけ、「持続可能な防衛産業を構築していく」と述べた。装備品輸出を単なる経済活動としてではなく、安全保障戦略の一環として捉える姿勢を鮮明にしている。
原子力潜水艦を含む装備開発の多様化
記者会見では、次世代潜水艦の「動力」に関し、原子力の活用可能性を問われた小泉氏は「あらゆる選択肢を排除しない」と明言した。連立合意書には、長射程ミサイルを搭載可能な「次世代の動力」を持つ潜水艦の開発推進が盛り込まれている。小泉氏は「どれかに決め打ちせず、抑止力・対処力を向上させる方策を検討する」と述べ、従来の防衛装備開発の枠を超えた検討を進める考えを示した。
安保関連3文書改定と外交体制の再構築
小泉氏は、2022年末に策定された国家安全保障戦略など3文書の前倒し改定にも意欲を見せた。「真に実効的な防衛力の構築に向け全力で取り組む」と語り、高市早苗首相の指示を受けて改定作業に着手する構えだ。また、外交面では茂木敏充外相が米国との調整役を務めることを明らかにし、前政権からの方針転換を示した。防衛・外交の双方で新たな枠組みづくりが始まりつつある。
