財輸出の落ち込みと住宅投資減少が主要因と判明
2025年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比年率▲2.7%(前期比▲0.7%)と、6四半期ぶりにマイナス成長となる見通しである。複数の民間シンクタンクが同様の見解を示しており、主な要因として財輸出の落ち込みと住宅投資の急減が挙げられる。米国向け輸出は関税コストの転嫁を背景に数量ベースで減少し、外需全体の寄与度は前期比年率▲1.4%に低下した。一方、住宅市場では、法改正前の駆け込み需要の反動が顕著に現れた。
住宅投資は26%超の減少、省エネ基準改正の影響が判明
住宅投資は前期比年率▲26.2%(前期比▲7.3%)と大幅に減少した。4月以降に施行された省エネ基準適用義務化を含む法改正が影響し、3月には駆け込み着工が急増したが、その反動で4月以降の着工件数が激減した。この動きが7〜9月期のGDP統計上に反映され、住宅関連分野全体の成長を押し下げた。こうした動向は、住宅市場の需要変動が制度改正の影響を強く受けやすい構造を示している。
設備投資は減速傾向、企業収益の悪化が影響
設備投資は前期比年率▲3.0%(前期比▲0.8%)と4四半期ぶりに減少に転じた。人手不足やデジタル化推進などの中長期課題を背景に、ソフトウェア投資は高水準を維持しているものの、輸出関連企業を中心に収益が低下し、機械投資を抑制する動きが広がっている。企業の投資意欲は一部で継続するが、外需の減少が利益圧迫要因となり、全体としては慎重姿勢が強まっている。
個人消費は小幅ながら増加、サービス分野が下支え
個人消費は前期比年率+0.5%(前期比+0.1%)と6四半期連続の増加を記録した。食料品を中心とした物価高が続く中で、非耐久財消費は弱含んだが、宿泊・飲食関連を中心とするサービス支出が全体を下支えした。観光需要や外食回復などが個人支出を支えており、依然として消費活動は底堅さを維持している。
年末以降は内需が下支え、景気回復の兆しが見込まれる
10〜12月期の実質成長率は小幅ながらプラスに転じる見通しである。外需は世界経済の減速や関税負担の影響を受けて伸び悩むものの、企業によるソフトウェア関連投資や家計の購買力改善が内需を下支えする。物価上昇率の鈍化により実質所得が回復し、個人消費の持続的な拡大につながる可能性がある。ただし、輸出環境の不安定さが残り、企業の投資判断には慎重さが続くとみられる。
