経済安保を軸にした政策判断
南鳥島近海で行われたレアアース泥の試験採取を巡り、政府内では経済安全保障の観点が前面に出ている。2026年2月3日、小野田紀美経済安全保障担当相は記者会見で、採掘コストの高さを認識しつつも、国家の安全を守る視点を重視すべきだと述べた。資源確保を市場原理だけで判断しない姿勢が示された形だ。
内閣府主導プロジェクトの位置付け
今回の採取作業は、内閣府が主導し、海洋研究開発機構などが参画する国家プロジェクトとして実施された。対象となるレアアースは産業に不可欠な重要鉱物であり、供給の偏在が国際的な課題となっている。政府が関与することで、長期的な視野に立った研究開発が可能となる。
中国依存からの脱却を目指す背景
希土類資源の多くは中国で生産されており、過去には輸出制限が国際市場に影響を与えた。日本にとっても調達リスクは大きく、代替供給源の確保が課題となってきた。南鳥島周辺の深海資源は、対中依存を緩和する選択肢として期待されている。
採算性と産業化の課題
小野田氏は、将来的な産業化には大幅なコスト削減が必要との認識を示しつつ、採算性だけを基準に判断すべきではないと指摘した。深海での採掘は設備や運用に多額の費用を要し、産業化の可否は未知数である。経済合理性と安全保障上の必要性をどう両立させるかが課題となる。
戦略物資を巡る政府の長期構想
レアアース泥開発は、単なる資源開発にとどまらず、国家戦略の一環として位置付けられている。高コストを一定程度受け入れながらも技術を蓄積し、将来の選択肢を広げる狙いがある。今回の試験採取は、その第一段階として政策的にも重要な意味を持つ。
