首相とIEAトップが供給安定策を協議
高市早苗首相は3月25日、首相官邸で国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長と会談した。会談では、中東地域の軍事的緊張が続く中、原油の供給体制を維持するための対応策が中心議題となった。
両者は、原油市場の混乱が長引いた場合の影響について認識を共有し、国際的な協力を前提とした供給安定の重要性を確認した。とりわけ、エネルギー安全保障が各国の経済活動に直結するとの認識が示された。
アジア地域への影響踏まえ追加対応要請
首相は、ホルムズ海峡を巡る状況が地域経済に与える影響に触れ、アジア諸国の負担が大きくなっていると説明した。そのうえで、緊張状態が続く場合に備え、石油備蓄の追加的な共同放出に向けた準備を進めるよう求めた。
今回の提案は、既存の放出措置に加えて市場の安定を維持するための予防的な措置として位置付けられる。首相は、国際機関と連携した対応が不可欠であるとの考えを示した。
4億バレル放出は過去最大規模
IEA加盟国は3月11日、総量4億バレルの協調放出を決定しており、これは過去最大の規模となる。ホルムズ海峡を通過する石油の輸送が制約を受ける状況を踏まえ、市場の供給不足や価格上昇を抑制する目的がある。
日本の放出量は約7980万バレルで、米国の1億7220万バレルに次ぐ規模となる。この取り組みは加盟国による協調行動としては6例目にあたり、直近では2022年のロシアによるウクライナ侵攻時にも同様の措置が講じられている。
エネルギー安全保障の重要性を共有
ビロル事務局長は、現在の国際情勢について、世界的なエネルギー供給体制が大きな局面を迎えていると指摘した。また、日本政府が主導的な役割を果たしていることへの謝意を示した。
首相もまた、IEAの判断によって大規模な備蓄放出が実施された点を評価し、引き続き密接な連携を維持する姿勢を強調した。
国際連携と供給網強化の方針確認
今回の会談では、石油供給だけでなく、重要鉱物を含む資源供給網の強化についても意見交換が行われた。各国が特定地域への依存を減らし、安定的な資源調達体制を築く必要性が共有された。
政府は今後も国際機関や関係国との協議を継続し、エネルギー市場の安定維持に向けた取り組みを進める方針である。
