業務用空調の伸びが業績を押し上げ
ダイキン工業が5月12日に発表した2026年3月期連結決算は、売上高が前期比5.5%増の5兆150億円、純利益が4.0%増の2752億円となった。売上高と純利益はいずれも過去最高を更新した。国内外で業務用の大型エアコン販売が堅調に推移し、中国市場などでの苦戦を補った。
同社は空調事業を中心に事業を展開しており、今回の決算では大型設備向けの需要が収益を支えた。特にデータセンター向け空調の拡大が業績に寄与した。生成AIの普及に伴い、サーバーを安定的に冷却する設備の重要性が高まり、空調メーカーとしての供給力が注目されている。
2027年3月期も最高益更新を計画
2027年3月期の連結業績予想では、売上高を前期比3%増の5兆1500億円、営業利益を5%増の4360億円、純利益を1%増の2780億円と見込む。純利益は6期連続で過去最高を更新する計画となる。データセンター向け空調の需要が米国を中心に引き続き伸びる見通しだ。
ダイキンは、サーバーを空気で冷却する空冷方式と、液体で冷やす液冷方式の双方を扱う。空冷は施設全体の温度管理に使われ、液冷は局所的な冷却に活用される。複数の冷却方式を提案できる体制を強みとし、大規模クラウド事業者などへの販売を進める。
10年ぶり自社株買いで還元策を転換
同社はあわせて、3500億円規模の自社株買いを実施すると発表した。自社株買いは10年ぶりで、自己株式を除く発行済み株式総数の約**5%**に相当する。取引には「コミットメント型自己株式取得」と呼ばれる手法を使い、5月13日に東京証券取引所の立会外取引で実施する。
年間配当も1株360円とし、前期から20円増やす方針を示した。これまでは株主資本配当率を基準に、配当を中心とした株主還元を行ってきた。竹中直文社長は記者会見で、投資機会や株価水準などを踏まえ、自社株買いを機動的かつ継続的に実施すると説明した。
関税と中東情勢の影響に対応
2026年3月期には、米国の高関税政策が営業利益ベースで約410億円の下押し要因となった。竹中社長は、価格転嫁とコストダウンによって影響を吸収したと述べた。原価低減と販売価格の見直しが、外部環境の悪化に対する主な対応策となった。
一方、2027年3月期には中東情勢の悪化が収益面で約100億円の減益要因になると見込む。竹中社長は、すでに顕在化している影響として、2026年4〜6月期の営業利益ベースで約100億円のコスト上昇があると説明した。製品の安定供給に向け、代替部品の調達や原材料の切り替えを進める。
中期計画で収益力と投資拡大を掲げる
ダイキンは、2031年3月期を最終年度とする中期経営計画も公表した。営業利益率は12%、自己資本利益率は15%を目標に掲げる。2026年3月期の実績は営業利益率8.3%、自己資本利益率**9.1%**であり、収益性の引き上げを重視する姿勢を示した。
今後5年間で設備投資やM&Aに計3兆円を投じる計画も明らかにした。投資額は過去5年と比べて5割増える。北米ではデータセンター向け空調に加え、継続的な保守事業につながるビジネスを強化し、成長市場での収益基盤を広げる方針だ。
