長期金利上昇で国債評価損が過去最大に膨らむ
日本銀行が5月27日に公表した2026年3月期決算で、保有国債の評価損が45兆4414億円に達した。長期金利の上昇に伴い、国債の市場価格が下落したことが主な要因である。評価損の規模はこれまでで最大となり、大規模金融緩和のもとで積み上がった国債保有の影響が改めて示された。
日銀が2026年3月末時点で保有していた国債は、簿価で530兆8695億円だった。これを時価で換算すると485兆4280億円となり、簿価との差が大きく広がった。市場金利の上昇は、既存債券の価格を押し下げるため、保有国債の評価額に反映された。
保有国債残高は減少する一方で損失幅が拡大
日銀は金融政策の転換後、国債買い入れ額を段階的に減らしている。2026年3月末の保有国債残高は、前期比で約45兆円減少し、減少率は7.8%だった。別の集計では、保有額は10%余り減ったとされている。
ただし、残高が縮小しても評価損は拡大した。前期と比べると、国債の評価損は約17兆円増えた。保有額の減少よりも、金利上昇による市場価格の下落が大きく作用した形である。
満期保有を前提に財務への影響を説明する日銀
日銀は、保有国債を満期まで持ち続ける方針を示している。このため、時価評価による損失は実際の財務運営に影響しないと説明している。国債を途中で売却しなければ、市場価格の変動による評価損は直ちに実現損とはならない。
一方で、評価損の拡大は日銀のバランスシートの状況を示す重要な材料となる。長期金利の上昇が続く中、簿価と時価の差は市場環境を反映する指標となっている。金融正常化を進める局面では、保有資産の規模と価格変動が注目される。
ETF評価益は株価上昇を背景に大幅拡大する
国債で大きな評価損が生じる一方、日銀が保有するETFでは評価益が拡大した。2026年3月末時点のETF残高は37兆1214億円だった。株価上昇を受け、評価益は57兆657億円に増えた。
ETFは大規模金融緩和の一環として買い入れられてきた資産である。株式市場の上昇により含み益は膨らんだが、日銀はすでに売却を進めている。年間3300億円程度のペースで処分しており、市場への影響を抑えながら進める必要がある。
金融正常化局面で資産管理の重みが増す
今回の決算は、日銀が金融政策を正常化する過程で抱える資産管理上の課題を示した。国債については評価損が過去最大となり、ETFでは多額の評価益が生じている。異なる資産で評価の方向が分かれたことで、日銀の保有資産全体への関心が高まっている。
国債買い入れの減額は進んでいるが、保有残高はなお巨額である。金利上昇により国債価格が下がる局面では、評価損の動向が引き続き注視される。日銀は満期保有を前提に影響を否定しているが、市場環境の変化に応じた説明が求められる。
