クウェートへの弾道ミサイル攻撃が新たに判明
米中央軍は5月28日、イランがクウェートに向けて弾道ミサイルを発射したと明らかにした。米国はこの行動について、4月から続く停戦に反する重大な行為だと批判した。クウェート側はミサイルを迎撃し、人的被害などの詳細は示されていない。
この攻撃は、米軍によるイランへの攻撃に対する報復とみられている。米イラン間では戦闘終結に向けた協議が続く一方、軍事的な応酬が再び表面化している。停戦の枠組みが維持されていると米側は説明しているが、現地情勢は不安定さを増している。
無人機迎撃と米軍による追加攻撃の経緯が焦点
米側の説明によると、イランはホルムズ海峡で5機の無人機を発射した。米軍はこれらを迎撃し、さらに6機目の発射も阻止したとしている。米中央軍は、警戒態勢を続けながら慎重に対応していると説明した。
これに先立ち、米軍は27日にイランで新たな攻撃を実施した。米当局者は、攻撃が軍事施設を対象としたものであり、抑制的かつ自衛的な性格だったと説明している。米国は25日にも、自衛を理由にイラン側の船舶やミサイル発射拠点を標的にした攻撃を明らかにしていた。
イラン外務省は米軍の攻撃に反発し、米国の行動を強く非難した。声明では、攻撃の結果について米国が責任を負うとの立場を示した。双方の主張は平行線をたどり、軍事行動と外交交渉が同時に進む複雑な状況となっている。
原油先物市場に広がった供給不安の影響が鮮明
イランの報復攻撃を受け、5月28日のアジア時間の原油先物は3%超上昇した。北海ブレント先物は日本時間午後0時44分時点で、1バレル=97.80ドルとなった。米WTI先物も91.99ドルまで上昇した。
前日の取引では、米イラン両国が戦争終結やホルムズ海峡の通航再開で合意する可能性が意識され、両指標は5%超下落していた。しかし、その後に報復攻撃と追加の軍事行動が伝わり、市場では供給への懸念が再び強まった。
ANZのコモディティーストラテジストは、原油供給が引き続き逼迫した状態にあると指摘した。主要な対立点が解決されていないことも、市場心理に影響している。米石油協会のデータでは、米原油在庫が前週に280万バレル減少し、6週連続の減少となった。
ホルムズ海峡周辺で相次ぐ軍事行動が再び発生
ホルムズ海峡周辺では、軍事行動が再び目立っている。イランのファルス通信は5月28日、ペルシャ湾への進入を試みた船舶を革命防衛隊が阻止したと伝えた。海上交通の安全を巡る緊張が高まる中、同海域の動向が国際的な関心を集めている。
5月26日には、英海事機関UKMTOがオマーン沖のタンカーで外部爆発が発生したと発表した。原因は明らかになっていない。乗組員は無事だったが、燃料油の一部流出が確認された。
ホルムズ海峡は、米イラン双方の対立点の一つとなっている。戦闘終結協議でも、通航や安全確保を巡る隔たりが残っている。海峡周辺での行動が増えれば、軍事衝突だけでなくエネルギー市場にも影響が及ぶ構図となっている。
停戦協議の停滞が示す不安定な局面が続く情勢
米イランの戦闘終結に向けた協議は、核開発やホルムズ海峡を巡る主張の違いが埋まらず、停滞している。米側は軍事攻撃が局地的であり、停戦は維持されていると説明している。ただ、攻撃の応酬が続くことで、停戦の弱さが表面化している。
中東地域では、レバノンでも緊張が続いている。イスラエル軍は5月28日、レバノンの首都ベイルートを攻撃した。ベイルートへの攻撃は約3週間ぶりとされる。
レバノンでは4月17日に停戦が発効したが、その後もイスラエルと親イラン組織ヒズボラの間で攻撃が続いている。米イラン間の対立に加え、周辺地域でも軍事行動が継続している。停戦協議が進展しない中、局地的な攻撃の連鎖が中東情勢全体の不安定要因となっている。
