欧州AI市場で大型計画が始動
ソフトバンクグループは、フランスに人工知能向けの大規模データセンター群を建設する計画を明らかにした。投資規模は最大750億ユーロ、約14兆円で、欧州のAIインフラ投資として極めて大きな規模となる。発表はフランス政府の対仏投資誘致イベント「Choose France」に合わせて行われた。
計画の中心となるのは、AIの学習や運用に必要な高性能な計算基盤である。AI分野では、モデル開発の高度化に伴ってデータ処理量が増え、演算設備と電力供給の確保が重要になっている。ソフトバンクグループは欧州で初めてAI向けデータセンターを整備し、地域内の需要に対応する。
仏北部に主要施設を配置
第1段階では、約450億ユーロを投じてフランス北部のオー=ド=フランス地域圏に拠点を置く。具体的な候補地として、ダンケルクやル・ボスケルなどが示されている。これらの地域で、AI処理に特化したデータセンター容量を段階的に増やす。
初期稼働は2028年に始める予定で、2031年までに3.1ギガワットの受電容量を確保する計画である。最終的には、プロジェクト全体で5ギガワット超の容量を備える。これにより、フランス国内だけでなく、周辺の欧州各国にも計算サービスを提供する体制を構築する。
電力基盤が立地選定を後押し
AIデータセンターの運営には、安定した電力供給が不可欠である。フランスは原子力発電を基盤とする電力供給体制を持ち、データセンター建設地として選ばれた。大規模な演算設備は消費電力が大きいため、電力の安定性と供給力は事業計画の重要な条件となる。
今回の計画は、AIの計算資源が米国に集中している状況を踏まえた動きでもある。欧州ではデジタル関連の制度整備が進む一方、大規模な計算基盤の不足が課題とされてきた。フランスでの拠点整備により、欧州内でAI開発に必要な基盤を確保する取り組みが進む。
欧州スタートアップの開発環境を支援
ソフトバンクグループは、構築した計算能力を自社グループのAI関連事業に利用する。加えて、欧州のAIスタートアップ企業にも提供する計画である。これにより、AI開発企業は大規模な演算環境を利用しやすくなり、開発に必要な基盤の確保につながる。
同社はすでにオープンAIへの出資などを通じ、AI領域への関与を深めている。今回のデータセンター事業は、AI企業への資本参加に加え、計算資源そのものを整える取り組みとなる。AIの利用拡大に伴い、サービスやモデルだけでなく、それを支える設備への投資も重要性を増している。
物理インフラが競争力を左右
孫正義会長兼社長は、AIの時代においてインフラを整える国々が技術と社会の未来を形づくるとの考えを示した。今回の発表は、AI分野の競争がソフトウエアやサービスだけでなく、電力とデータセンターを含む物理的な基盤に及んでいることを示す。
米国の大手IT企業がAI基盤に巨額投資を進める中、ソフトバンクグループは欧州で大規模な計算拠点を構築する。フランスで進む計画は、AI産業の地域的な広がりと、欧州におけるデジタルインフラ強化の動きを示す事例となる。
