レバノン情勢を巡る首脳間対立が表面化
米国のトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の関係に、レバノン情勢を巡る緊張が表面化した。米ニュースサイト「アクシオス」は6月1日、両首脳の電話会談でトランプ氏がネタニヤフ氏を激しく批判したと報じた。イスラエルがレバノンでの侵攻を拡大したことに対し、米側が強い不満を示した形である。
トランプ氏は、ネタニヤフ氏の対応がイランとの戦闘終結交渉に悪影響を及ぼしていると受け止めている。イランは、米国との戦闘終結に向けた条件の中に、レバノンでの交戦停止も含めている。イスラエルの軍事行動は、米国が進める協議の環境を複雑にしている。
イスラエルの戦線拡大に米側が強い反発
アクシオスによると、トランプ氏は電話会談で、ネタニヤフ氏に対して「一体何をしているんだ」と怒りを示した。さらに、ネタニヤフ氏を強い言葉で非難し、イスラエルの国際的孤立にも言及した。米大統領が、同盟関係にあるイスラエルの首相をここまで直接的に批判するのは異例である。
トランプ氏はここ数日、ネタニヤフ氏が情勢を悪化させているとの見方を示していた。イスラエルの行動がレバノン情勢を不安定化させ、イランとの協議にも影響しているとの認識がある。米国とイスラエルの間では、安全保障上の連携を維持しながらも、戦闘終結を巡る方向性に違いが出ている。
イランとの協議停止が交渉全体を圧迫
イラン側は、イスラエルによるレバノン攻撃に反発し、米国との交渉を停止すると報じられた。米政権は5月下旬、イランとの覚書を巡り合意が近づいたとみられていたが、イスラエルの戦線拡大がその流れを変えた。交渉の停滞は、戦闘終結を急ぐトランプ政権にとって重い課題となっている。
イランは、ホルムズ海峡の扱いや高濃縮ウランの引き渡しを巡り、米国の要求に応じない姿勢を維持している。米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏は米国提案への回答が遅いとして、イラン側にも不満を示している。交渉はイスラエルの行動だけでなく、イラン側の対応によっても難航している。
異例の発言が示した同盟関係の深い緊張
トランプ氏は電話会談で、収賄罪などで起訴されているネタニヤフ氏の立場にも触れたと報じられている。アクシオスによると、トランプ氏は自身の支援がなければネタニヤフ氏は刑務所に入っていたとの趣旨の発言をした。これは首脳間の通常の外交対話を超えた厳しい発言である。
さらにトランプ氏は、ネタニヤフ氏への反感がイスラエル全体への反発につながっていると述べたとされる。発言の背景には、イスラエルの行動が国際社会で批判を強め、米国の交渉にも影響しているとの判断がある。米イスラエル関係は従来「特別な関係」とされてきたが、今回の電話会談はその内部にある摩擦を浮き彫りにした。
停戦交渉の停滞が中東情勢を左右する局面
トランプ氏は、米CNBCのインタビューでイランとの交渉について投げやりな発言をした。長引く協議に対して「非常に退屈になってきた」と述べ、交渉の行方に強いいら立ちを示した。SNSでも国内議員への反論を続け、批判を受ける中で中東政策への圧力が高まっている。
11月には米国で中間選挙が予定されており、トランプ氏にはイランとの戦闘を早期に終わらせたい意向がある。一方、共和党内では拙速な停戦を弱腰とみる声も出ている。レバノンでの戦線拡大、イランとの協議停止、米国内の政治的圧力が重なり、停戦交渉は厳しい局面に入っている。
