広告再開後の費用増で中間期の利益水準が大幅縮小
小林製薬が8月6日に発表した2026年1~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比64.1%減の11億円となった。営業利益も67%減の21億円にとどまり、売上高が増加する一方で、利益面では大幅な減少となった。
収益を押し下げた主な要因は、紅麹原料を含むサプリメントの健康被害問題を受けて停止していた広告活動の再開だ。同社は2025年7月から広告展開を本格化させており、テレビや店頭などを通じた販売促進に伴う支出が膨らんだ。
健康被害問題の公表後は広告を自粛していたが、商品販売を立て直すために宣伝活動を再開した。売上回復に向けた施策を進める過程で、短期的には費用の増加が利益を圧迫する形となった。
国内外の販売拡大により売上高は増収基調を維持
2026年1~6月期の売上高は、前年同期から2.5%増加して707億円となった。利益は前年を下回った一方、国内と海外の双方で商品販売が伸び、連結売上高は増収を確保した。
国内市場ではヘルスケア関連商品が堅調に推移した。中国では冷却用品の「熱さまシート」や外用鎮痛消炎薬の「アンメルツ」の出荷が順調に進み、海外事業の売り上げを支えた。
広告再開による費用増加は営業利益の減少につながったが、販売活動の回復は売上高の増加に表れた。増収と大幅減益が同時に進んだことで、販売規模の回復と収益性の改善を両立できるかが今後の焦点となる。
研究開発拠点の統合費用と製品回収損失も収益を圧迫
広告費以外にも、一時的な支出が最終利益を押し下げた。小林製薬は新たな研究開発拠点への事業所統合に伴う費用を特別損失として計上しており、純利益の減少要因となった。
紅麹関連製品の回収に伴う損失としては、6億円を計上した。健康被害問題への対応が続く中、商品の回収や補償などに関する支出が引き続き業績に影響している。
補償対象者は2026年7月末時点で520人に達した。このうち380人については、慰謝料や医療費の支払いを完了しており、同社は対象者への対応を継続している。
中東情勢の悪化が原材料調達と新商品の発売計画に影響
中東情勢の悪化も事業運営に影響を及ぼした。原材料価格の上昇や調達の遅れが発生し、2026年4~6月期の業績は厳しい状況となった。
豊田賀一社長は決算記者会見で、原材料を安定して確保できる見通しが立たなかったため、発売を見送った新商品があったと説明した。中東情勢による影響は、通期の営業利益を20億円押し下げる要因になると見込んでいる。
一方、足元では原材料の調達状況が通常に近い水準まで戻っているという。同社は供給環境の改善を踏まえ、今後の商品投入や販売促進を強める方針を示した。
信頼回復への対応と販促強化が今後の重要な経営課題
小林製薬は、健康被害を受けた人への補償や製品回収を進める一方、広告や販売活動の正常化にも取り組んでいる。2026年中間期は、こうした複数の対応に伴う費用が重なり、利益が大きく減少した。
豊田社長は記者会見で、信頼回復に向けた取り組みを継続的に進める方針を示した。広告活動によって販売を立て直すだけでなく、健康被害問題への対応を続け、企業と商品の信用を回復させる考えだ。
原材料の調達環境は改善しつつあるものの、補償や回収に関する負担は残っている。販売促進の強化によって収益を回復させながら、再発防止と被害者対応を進めることが、今後の経営における中心的な課題となる。
