純利益が減少した4~6月期連結決算の全体像
ソフトバンクグループが8月6日に公表した2026年4~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比17.7%減の3473億円となった。売上高は10.9%増の2兆195億円に拡大したものの、半導体関連事業の費用増加や金融損失が利益を押し下げた。増収を確保する一方で、成長分野への先行支出が最終損益に重くのしかかる結果となった。
同社は英半導体設計大手アームを中心に、人工知能向けの半導体や計算基盤に関わる事業を強化している。事業規模の拡大に伴い、技術者の採用や研究開発への支出も増えている。2027年3月期の通期業績予想については、引き続き開示していない。
インテル株の上昇が本体投資事業の利益を下支え
ソフトバンクグループ本体の投資部門では、投資先の米半導体大手インテルの株価上昇が収益を下支えした。インテル株は3月末の約44ドルから6月末には約139ドルへ値上がりし、保有株式の帳簿価額は前期末比で1兆3582億円増えた。半導体株の大幅な上昇が、投資部門の利益拡大につながった。
後藤芳光CFOは決算会見で、インテル株の上昇を想定を上回る動きとして受け止めた。半導体銘柄は価格変動が大きいとしたうえで、投資先の企業価値がさらに高まることに期待を示した。投資会社としての収益は改善したが、グループ全体の減益を補うまでには至らなかった。
アームの人員拡充と株式報酬費用の増加が重荷
利益を圧迫した主な要因は、アームを中核とするAIコンピューティング事業のコスト増加だった。アームではエンジニアを中心に人員を増やし、次世代半導体技術に向けた研究開発を拡充している。人材獲得や開発体制の強化に必要な支出が膨らみ、部門の採算に影響した。
米半導体設計会社アンペア・コンピューティングを子会社化したことに伴い、株式報酬費用も増加した。加えて、為替差損やデリバティブ取引に関する損失が発生し、純利益を押し下げた。複数の費用要因が重なり、インテル株による投資利益の増加を相殺した。
オープンAIの評価額は前期末から変わらず
ソフトバンクグループが重点投資先と位置付ける米オープンAIの公正価値は896億ドル、約14兆円だった。3月末時点から評価額に変動がなかったため、4~6月期の投資利益には貢献しなかった。巨額の資金を投じているものの、当四半期の決算には評価益として反映されていない。
ビジョン・ファンド事業の投資利益は、セグメントベースで2557億円となった。中国IT大手バイトダンスの好業績がプラスに働いた一方、傘下の決済関連会社PayPayの評価は弱含んだ。投資先ごとの業績や評価額の変化が、ファンド全体の収益を左右する構造が続いている。
AI投資を継続する中で問われる収益管理体制
ソフトバンクグループは、オープンAIやアームを軸としたAI関連投資を今後も拡大する方針だ。オープンAIには7月末までに546億ドルを投じ、10月にはさらに100億ドルを追加する予定となっている。追加出資が完了すれば、累計投資額は646億ドル、持ち分比率は約13%となる見込みだ。
一方、今回の決算では、AI事業の成長に必要な人材や開発への支出が利益減少の要因となった。投資先の株価上昇による収益だけでなく、事業運営に伴う固定費や金融市場の変動も業績に大きく影響している。AI分野への資金配分を続けながら、費用増加をどのように管理するかが今後の決算を見るうえで重要となる。
