生産終了した茂原工場の売却を正式決定
経営再建を進めるジャパンディスプレイ(JDI)は9月30日、千葉県茂原市にある茂原工場を新光電気工業へ売却することを取締役会で決定した。対象となる工場は2025年11月に液晶パネルの生産を終了しており、JDIはその後、資産を有効活用するため売却先を探していた。
今回の取引には、工場に隣接する茂原物流センターの土地と建物も含まれる。施設の引き渡しは2027年3月31日に実施する予定となっている。売却額そのものについては公表していない。
514億円を特別利益として決算に計上へ
JDIは茂原工場の譲渡に伴い、514億円の利益が発生するとしている。この金額は2027年3月期決算で特別利益として計上される。長期間にわたって赤字が続いてきた同社にとって、大規模な資産売却は財務基盤を改善するための重要な取り組みとなる。
JDIは2026年3月期まで12年連続で最終赤字を計上している。液晶パネル市場を取り巻く環境の変化や海外企業との競争が続く中、構造改革や資金調達などを通じて事業の立て直しを進めてきた。
かつてiPhone向け液晶を担った主力拠点
茂原工場は、かつて米アップルのiPhone向け液晶パネルを生産したJDIの主要な製造拠点だった。同社は2012年、電機大手3社の液晶事業を統合する形で発足し、2014年には株式を上場した。
一方、その後は韓国や中国のメーカーとの競争が激しくなり、市場環境の変化への対応も課題となった。経営不振が長期化する中で生産体制の見直しが進み、茂原工場も2025年11月をもって生産を終えていた。
売却後は先端半導体向けの生産拠点に転換
工場を取得する新光電気工業は、半導体パッケージなどを手がけるメーカーだ。取得する茂原工場の一部については、半導体基板メーカーのFICTへ譲渡する計画となっている。
新光電気工業とFICTは、それぞれ取得した施設を先端半導体関連の生産に利用する。AIの普及に伴って需要が増えている半導体向けの部品やパッケージを生産する拠点として、液晶パネル工場だった施設が新たな用途へ転換される。
資産整理で財務改善と将来への投資を推進
JDIは今回の売却を構造改革における大きな節目と位置づけている。茂原工場の譲渡によって得られる経営資源を活用し、財務基盤の改善と将来の成長に向けた取り組みを進める方針だ。
同社はこれまで、構造改革に加えて新株予約権の行使による資金調達なども実施してきた。12年連続の最終赤字という厳しい状況が続く中、かつて主力だった生産拠点の売却を通じて資産構成を見直し、経営の立て直しを進める。
