ビール大手4社を対象に異例の強制調査へ
公正取引委員会は10月7日、ビールなどの卸売価格を巡りカルテルを結んだ疑いがあるとして、国内ビール大手4社に対する強制調査に着手した。対象となったのはアサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールで、本社などが調査を受けた。
疑われているのは、小売店や飲食店などに商品を供給する卸売業者への出荷価格について、4社が事前に調整していた行為だ。各社の担当者らが接触し、数年にわたって価格に関する調整を続けていた疑いが持たれている。公取委は独占禁止法違反の可能性を調べている。
営業担当者らが値上げ目標を共有した疑い
関係者の情報では、4社が加盟するビール酒造組合の会合に合わせ、本社の営業課長らが非公式に集まっていたとされる。こうした場で価格に関する情報を交換し、「値上げ幅の具体的な目標」を設定するなどしていた疑いが浮上している。
問題となっている行為は一時的なものではなく、数年前から続いていたとみられている。公取委は、不適切な情報交換が長期間にわたって行われていた可能性も含めて調べる。価格競争を行う立場にある企業間で販売価格に関する調整があったのかが、今後の調査の焦点となる。
2025年4月には主力商品を一斉値上げ
4社は2025年4月、原材料価格の高騰などを理由として、主力のビール商品を含む商品の価格をそろって引き上げていた。今回の調査では、こうした値上げを含め、卸売業者への出荷価格がどのような過程で決定されていたのかが調べられることになる。
物価上昇が続く中、ビールの販売価格についても原材料費、人件費、輸送費などの上昇が影響していると受け止められてきた。一方、競合するメーカー同士が値上げ幅などについて事前に情報を共有していた場合、通常の価格競争が損なわれることになる。カルテルによって価格が調整されていたと認定されれば、消費者が余分な負担を負っていた可能性も問題となる。
公取委は犯則事件として証拠を本格分析
公取委の岩成博夫事務総長は10月7日の定例会見で、今回の調査について、犯則事件として調査を開始するのに足る証拠が得られたため着手したと説明した。調査は始まったばかりだとして、具体的な内容については言及を控えている。
公取委は今後、強制調査で押収した資料などを詳しく分析し、4社の担当者間でどのようなやり取りが行われていたのかを確認する。価格調整の期間や対象商品、情報交換の内容など、カルテルの実態解明を進める方針だ。調査結果を踏まえ、検察への刑事告発も視野に入れている。
4社が調査への全面協力を表明し実態解明へ
アサヒビール、キリンビール、サントリー、サッポロビールの4社は、独占禁止法に基づく公取委の調査を受けたことを認めた。それぞれ調査に全面的に協力する方針を示しており、今後は関係資料や担当者間のやり取りを通じて事実関係の確認が進められる。
今回の疑惑では、国内ビール市場を代表する4社がそろって調査対象となった。数年間に及んだとされる価格調整の有無に加え、業界団体の会合に合わせた非公式な接触で具体的に何が話し合われていたのかも重要な調査対象となる。公取委は刑事告発の可能性も含め、価格決定を巡る一連の経緯を詳しく調べる。
