日米の円買い介入で米国側の異例の資金運用が判明
2026年7月下旬に日本と米国が共同で実施した円買い介入で、米国が通常とは異なる資金運用を採用していたことが明らかになった。米連邦準備制度理事会(FRB)は10月7日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)の9月会合議事要旨で、介入にFRBの資金が投入されなかったことを示した。
米国側の取引は米財務省の資金だけで実施され、FRBが保有する資産を利用する従来の仕組みは使われなかった。日米による円買いの共同介入は約30年ぶりであり、今回の対応では資金調達と執行方法の両面で通常と異なる措置が取られた。
財務省とFRBが資金を分担する従来方式との相違
米国の為替市場への介入は通常、米財務省の指示を受けて実施される。資金面では財務省とFRBがそれぞれの勘定を均等に利用する方式が採用されてきた。しかし、7月の共同介入ではこの分担方式が適用されなかった。
議事要旨によると、ニューヨーク連邦準備銀行は米財務省の代理として取引を執行した。FRBの保有する米国債などの証券を管理するシステム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)は使用されていない。
つまり、実際の市場取引にはニューヨーク連銀が関与したものの、介入に必要な資金は米財務省が負担した。中央銀行の資金を組み合わせる通常の方式とは異なり、財務省の勘定だけで対応する形となった。
米国の介入規模は非公表、財務長官が少額と説明
FOMCの議事要旨では、米国側が実施した為替介入の具体的な日時や金額は示されなかった。資金の出所とニューヨーク連銀の役割について説明された一方、取引規模の詳細は明らかにされていない。
ベッセント米財務長官は9月、米国が今回の介入に投入した資金について、極めて少額だったと説明した。また、介入は米国自身の利益にも合致する措置だったとの認識を示した。
今回の共同介入では、米政府がユーロを売却することで円高方向への誘導を図ったとの見方もある。ただし、議事要旨には介入額や個別の取引内容に関する具体的な記載はなく、資金面の運用方法が確認された。
日本側も米国債を担保に介入資金を確保する対応
米国だけでなく、日本側でも通常とは異なる資金調達が行われた。日本政府は米国債を担保として必要な資金を借り入れ、為替市場への介入原資を確保した。
財務省の公表データによると、日本政府・日銀は7月30日から8月26日までの期間に合計15兆3993億円の為替介入を実施した。この金額は月次ベースで過去最大となり、円相場の変動に対応するため大規模な資金が投入された。
今回の介入は、円相場が対ドルで1980年代以来の低水準に落ち込んだことを受けて実施された。円安によって輸入品の価格や家計の負担が増大する中、為替相場の下落への対応が日本の政策当局にとって重要な課題となっていた。
日米財務当局が必要に応じた追加介入の姿勢を維持
今回の円買い協調介入は、日米が約30年ぶりに共同で為替市場に対応した事例となった。米国は財務省の資金のみを使用し、日本は米国債を担保に介入資金を借り入れるなど、双方が従来とは異なる手段を採用した。
トランプ米大統領は円安について、日本の製造業者に不公正な貿易上の優位性を与えていると批判している。日本では輸入価格や家計負担の増加が問題となる一方、米国では貿易競争の観点から円相場が注目されている。
片山さつき財務相とベッセント米財務長官は、いずれも必要に応じて再び市場介入を実施する姿勢を示している。7月の介入で採用された資金運用の詳細が明らかになったことで、日米当局による共同対応の実態が一段と具体化した。
