広島県警の職員約5700人に個人情報流出の疑い
大阪府箕面市のIT企業「アルカディア」が外部から不正アクセスを受けた問題で、広島県警察本部に所属する警察官や職員約5,700人の個人情報が漏えいした可能性が明らかになった。対象は県警の警察官と職員のほぼ全員に相当し、氏名や所属、私用メールアドレスなどが含まれている。
広島県警は、災害発生時に警察官や職員の安否を確認するため、同社が提供するシステムを利用していた。10月13日にはアルカディアから県警に対し、不正アクセスに伴う情報流出の可能性が通知された。
県警によると、対象となる情報に警察官や職員以外の個人情報は含まれていない。また、これまでに流出した情報が不正に利用された事実は確認されていない。
広島県内13自治体が利用する防災サービスにも影響
アルカディアは、地方自治体などに防災情報や防犯情報を配信するサービスを提供している。広島県内では広島市、福山市、廿日市市など13自治体が同社のサービスを導入しており、県内で少なくとも11万件以上の個人情報が流出した可能性がある。
同社は今回の不正アクセスに関連し、防災や国民保護に関する情報配信サービスに登録された300万件余りのメールアドレスと、10万件余りの電話番号が漏えいしたおそれがあると公表した。
東京都内でも10月14日、江東区、世田谷区、日野市、小平市、三鷹市、小金井市、昭島市、東久留米市が新たに情報流出の可能性を発表した。各自治体では関連サービスの運用が停止されており、復旧時期は決まっていない。
消防団や聴覚障害者向け通報システムにも被害拡大
調査の過程では、消防機関が使用する別のシステムにも不正アクセスが及んだ疑いが判明した。対象には、火災情報などを消防本部から地域の消防団やガス会社に伝達する仕組みが含まれる。
このシステムに関連して、消防団などのメールアドレス約9万7,000件と電話番号約1万7,000件が流出した可能性がある。
さらに、聴覚障害者などがチャット機能を通じて消防機関に通報するサービスも被害を受けた疑いがある。利用者の氏名、生年月日、住所など約1万3,000件の個人情報が影響を受けたおそれがある。同社は警察に相談するとともに、被害範囲の確認を続けている。
千葉県でも職員情報が対象となり被害が広域化
千葉県は、災害時に職員を招集するシステムなどに登録されていた延べ4,000人余りの情報が流出した可能性を発表した。対象には県職員などの氏名やメールアドレスが含まれている。
被害が疑われるのは、一般の職員参集システムに加え、水道事業に関する災害対応用のシステムなどである。県は委託先のアルカディアに対して、詳細な状況を調べるよう求めている。
今回の問題では、住民向けの情報配信だけでなく、警察や消防、自治体職員の緊急連絡に使用する仕組みまで影響が広がった。複数の地域と行政機関が共通の外部サービスを利用していたことが、相次ぐ被害公表の背景となっている。
外部委託先の安全管理と情報流出対策が重要課題に
政府の個人情報保護委員会は、企業や団体に対し、多要素認証の導入や不要となった個人データの削除など、基本的な安全対策を徹底するよう求めている。
佐脇事務局長は、サイバーセキュリティーを経営上の重要課題として扱い、従業員教育も含めて対策を継続する必要性を強調した。
アルカディアへの不正アクセスでは、行政機関が日常的に利用する防災・緊急連絡サービスに広範な影響が生じた。各自治体ではサービス停止が続いており、情報流出の範囲の特定とシステムの復旧が課題となっている。
