米司法省がエヌビディアの約2兆円買収計画を調査、AI市場の競争環境に焦点

瀬川結羽
经过

約2兆円規模の企業買収に米競争当局が関心を強める

米国の司法省が、半導体大手エヌビディアによるAI関連企業ハギングフェイスの取得計画について、競争上の問題が生じないか確認を進めている。買収金額は129億3000万ドル、日本円で約2兆円に達する。2026年10月28日、調査の事情を知る関係者2人の説明から明らかになった。

当局が重視しているのは、AI向け半導体の供給で大きな存在感を持つ企業が、AIモデルの配布に使われる主要サービスも傘下に収める点だ。ハギングフェイスは世界中の開発者に利用されており、買収によってエヌビディアの事業上の影響力がさらに広がることが調査の対象となっている。

この確認作業は、同社の企業取得や出資、取引条件などを長期間にわたって調べてきた取り組みの一部に位置付けられる。

AIモデルの共有基盤を傘下に置く影響を確認

ハギングフェイスは、AI開発者が公開モデルを入手し、用途に合わせて変更したり、他の利用者に提供したりできるサービスを展開している。多様なAI技術を扱うための共通基盤として利用され、特定の半導体メーカーだけに依存しない仕組みを持つ。

司法省は、このサービスがエヌビディアの所有下に入った場合、他の半導体企業やAI関連事業者の利用条件に変化が生じるかを確認している。具体的には、サービスへの接続、料金体系、利用者の誘導などを通じて、競合企業に不利な状況を作り出せるかが論点だ。

さらに、買収したサービスを別の商取引における交渉手段として使えるかについても質問している。調査担当者は、ハギングフェイスと競争関係にあるサービスについても情報を集めている。

エヌビディアは2027年上半期の買収完了を予定

エヌビディアは、ハギングフェイスの取得手続きを2027年上半期までに終える計画を示している。買収後については、異なる半導体製品やクラウドサービス、AI事業者との協力関係を維持する方針だ。

同社はAIの計算処理に使われる高性能半導体を供給し、OpenAIやアンソロピックなどの企業にも資金を投じている。世界各地で進むデータセンターの整備にも関わり、AI技術の開発と運用を支える立場を強めてきた。

こうした事業の広がりを背景に、司法省は半導体の販売だけでなく、関連サービスの所有が市場全体に与える影響も確認している。今回の報道に関して、エヌビディアは追加の説明を控え、ハギングフェイスからも回答は得られていない。

過去の買収や半導体の取引条件にも調査が拡大

司法省の確認対象には、エヌビディアが2025年12月に買収したSchedMDも含まれる。同社はスーパーコンピューターの処理を管理するオープンソースソフトウェアを開発しており、国家安全保障に関わる計算業務でも利用されている。

買収に際しては、利用者が従来と同じようにソフトウェアを使えるかについて、一部の専門家から懸念が示された。エヌビディアは公開された利用環境を維持し、開発支援を続けるとしている。

また、2025年に半導体新興企業Groqとの間で結んだ技術ライセンス契約や、技術者の採用も調査に含まれる。司法省は、AI向け半導体の供給量を他の機器や製品の購入条件と関連付けていなかったかを確認した。半導体の処理効率を改善する技術を持つRun:aiの取得も対象となっている。

違法性の認定や提訴には至らず調査を継続

エヌビディアに関する競争上の調査は、バイデン前政権の時期に始まり、トランプ政権でも続けられている。この間、同社は時価総額で世界最大の企業となり、AI産業での事業規模を拡大した。

司法省は個別案件の詳細について説明を避けている。一方、事業慣行の調査を名目として企業統合の審査を進めることは適切ではないとの立場も示した。

現在までに司法省がエヌビディアを提訴した事実はなく、調査の実施自体が法令違反を示すものではない。トランプ大統領が調査に直接関与したことを裏付ける情報も確認されていない。買収計画と関連取引に対する当局の確認作業が続いている。

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