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三菱商事、米ガス資産取得で世界供給網を拡充へ

米国事業拡大を示す大型投資が判明 三菱商事は、米国で天然ガスの開発を手がけるエーソンを買収すると正式に発表した。有利子負債の引き継ぎを含む買収規模は約1兆2000億円に達し、同社史上最大の企業買収となる。株式の取得手続きは2026年6月ごろまでに完了する予定で、買収後は完全子会社化される見通しだ。この案件は、世界的なエネルギー需要の構造変化を踏まえた長期的な成長戦略の一部とされている。 シェールガス権益の地理的優位性が判明 エーソンは、米南部のテキサス州とルイジアナ州にまたがるヘインズビル盆地で天然ガスを開発している。同地域は全米有数の埋蔵量を誇り、インフラ面でも整備が進んでいる点が特徴とされる。ピーク時の生産量はLNG換算で年間1800万トンに達する見込みで、日本の年間LNG需要の2割を超える規模に相当する。 電力需要増加とガス市場の役割が鮮明に AIの普及や大規模データセンターの増設により、世界の電力消費量は拡大を続けている。再生可能エネルギーのみで需要を賄うことは難しく、安定供給が可能な天然ガスの重要性が改めて高まっている。天然ガスは石炭や石油と比べて温室効果ガス排出量が少なく、脱炭素社会への移行期を支えるエネルギー源と位置づけられている。 LNG事業との相乗効果が明確に 三菱商事はすでに北米やアジア、東南アジアなどでLNG権益を保有している。カナダからアジア向けのLNG出荷も開始しており、今回の買収により米国でもガス販売網を確保することになる。これにより、北米産ガスを欧州や日本、アジア市場へ柔軟に供給する体制が整う。 日本向け安定供給の意義が示された 記者会見で中西勝也社長は、「米国からの安定供給は日本のエネルギー安全保障にとって重要だ」と述べた。資源を海外に依存する日本にとって、供給源の多角化は政策的にも意味を持つ。今回の投資は、企業戦略と国家的課題の双方に対応する動きといえる。