転換社債と普通社債の2本立てで大型調達 日産は2026年3月期の業績見通しを現時点で示していないが、4~6月期の営業損益は約2,000億円の赤字となる見通しだ。前年同期は10億円の黒字であり、大幅な悪化となる。加えて、米国での関税強化によるコスト増も懸念されており、最大4,500億円の負担増が見込まれている。こうした厳しい経営環境が、今回の大型資金調達の背景にある。2025年3月期の最終損益は6,708億円の赤字となり、過去3番目に大きな損失を記録した。 償還期限迫る既存社債のリファイナンスが目的 今回の資金調達は、2026年3月期中に償還予定の5,580億円相当の既存社債のリファイナンスが中心的な目的とされる。経営再建中の日産にとっては、信用の維持と安定的な資金繰りの両立が課題であり、普通社債の発行によりこれに対応する構えだ。社債は無担保型で、海外の機関投資家を主な対象としている。 EVやソフトウェア分野への開発資金にも充当 転換社債によって得られる1,500億円については、電動車両(EV)の技術開発や自動車制御用ソフトウェアなどの基幹技術開発資金に充てる計画。2025年5月の決算説明では、同社は現金同等物2.2兆円を含む3.4兆円の流動資産を確保しており、未使用の融資枠が2.1兆円あると説明していた。今回の調達は、それとは別に再建を加速させる「戦略的な資金調達」となる。 初の四半期営業赤字見込みが資金戦略に影響 日産は2026年3月期の業績予想を非開示としたままだが、第1四半期の営業赤字を2,000億円と見込んでいる。前年度の同期は黒字(10億円)だった。米国の関税引き上げの影響も不確定で、最大4,500億円のコスト増加を想定しており、収益環境の悪化が資金調達方針にも反映されている。2025年3月期の最終赤字は6,708億円に達し、同社にとって過去3番目の赤字規模となった。 投資家との関係強化もねらいに 日産広報は、今回の社債発行について「既存の機関投資家との関係維持と、新たな投資家層の開拓を目的としている」と説明している。異なる通貨建てや債券種別の組み合わせにより、幅広い投資家層の取り込みを目指す。2027年3月期までに固定費・変動費合わせて5,000億円の削減を計画し、自動車事業の黒字化に向けた取り組みが続く。
車載分野の競争激化が業界再編を加速 カーナビなど車載機器を手がけるパイオニアが、台湾のディスプレーメーカーの傘下に入ることが明らかになった。背景には、自動車業界におけるソフトウエア開発競争の激化と、コックピット周辺の技術革新がある。ハードとソフトの融合が求められる中、再編は避けられない状況となっている。 株式売却で欧州ファンドから台湾資本へ移行 パイオニアの株式は現在、欧州の投資ファンドが100%保有しているが、これを台湾・イノラックス傘下の自動車部品メーカーに全額売却する契約が成立した。売却額は1,636億円で、2025年中に取引完了が予定されている。新たな親会社は車載向けディスプレーに強みを持ち、パイオニアの技術と相互補完が期待される。 車載ソフトとハードを統合する次世代戦略 両社は連携して、運転席周辺のディスプレー、音響、カーナビなどを統合した新しいコックピットシステムの開発を進める方針だ。自動車のアップデート可能なソフトウエアに関心が高まる中、視覚情報と操作性を一体化した設計は今後の競争力の鍵となる。 音響機器の老舗からモビリティ分野へ転換 パイオニアは1938年の創業以来、家庭用オーディオ機器で確固たる地位を築いてきたが、2019年に業績の悪化により海外のファンドに経営権を譲渡している。今回の新たな資本移動により、台湾企業の支援を受けて車載事業に注力し、経営の立て直しを図る方針だ。 国境を越えた技術連携が成長の鍵に パイオニアの事業再生は、グローバルな技術提携が成功のカギを握る。ハードウエア開発力に優れる台湾企業と、ナビゲーションや音響に強みを持つ日本企業の組み合わせは、今後の自動車分野における新たな付加価値創出につながる可能性がある。
Sign in to your account