中小企業支援を巡るG7の協議内容 G7各国はカナダ・モントリオールで9日まで開かれた産業・デジタル・技術相会合で、中小企業のAI導入を後押しするための共同方針をまとめた。多くの大企業で業務効率化や新サービス開発にAIが使われる中で、中小企業には導入の遅れが指摘されており、国際的にも改善が求められてきた。会合では、通信環境の高度化、データ利用の基盤整備、人材確保など複数の施策が必要だとの認識を共有した。こうした取り組みの進展が、企業規模による技術格差の縮小につながることが期待される。 高速通信網整備の重要性が確認 会合では、AIの活用に不可欠な高速通信インフラの整備を各国が優先事項として位置づけることが示された。中小企業では大企業と異なり、立地や予算面から十分な通信環境を整えにくい場合がある。高速通信網の拡充は、AIシステムの安定運用や大容量データ処理を可能にし、導入の障壁を引き下げる要素となる。各国は地域間の通信環境の差を減らすことも課題として捉えており、広域的なインフラ整備が中小企業の事業活動を支える基盤になるとの立場を示した。 AI知識普及と高度人材育成の課題 中小企業におけるAI導入の停滞は、技術に関する知識不足も主要な要因とされる。会合では、企業内部で基礎的な理解を広げる取り組みを強化する必要性が指摘された。また、AI分野の高度なスキルを持つ人材が不足している現状も浮き彫りとなり、体系的な教育プログラムの拡充が求められた。人材面の強化はAI活用の持続性にも直結するため、G7全体で育成モデルを共有し、教育機関や産業界との連携を深めることが重要だと位置づけられた。 適切な規制整備とリスク対策 AI活用に伴うリスク管理も議論の柱となった。中小企業は専門部署が限られており、システムの問題点を早期に把握する体制を整えにくいことが課題として挙げられた。会合では、関連する規制の透明性を高めるとともに、リスク評価や問題発生時の対応方法に関する明確な情報提供を進める方針が示された。各国は安全性と信頼性を確保した利用環境の整備を推進する姿勢を強調し、中小企業が安心してAIを導入できる枠組みづくりの必要性を確認した。 量子分野の協力拡大と供給網維持の動向 AI関連以外でも、量子技術を巡る協力体制の構築が合意事項として盛り込まれた。G7は新たな作業部会を立ち上げ、技術開発や人材交流の枠組みを整備する方針を示した。また、半導体供給網の安定化に向けた取り組みを継続する点でも一致した。近年の国際情勢の変動は供給網の脆弱性を示しており、G7は産業基盤を守るため連携強化を重視している。AI導入促進と併せて、これらの分野での協力が経済基盤の強化につながるとの見方が示された。
英高等法院が訴えを退ける判決を発表 英国ロンドンの高等法院は2025年10月15日、スイスの金融機関クレディ・スイス(現UBS傘下)がソフトバンクグループ(SBG)に対して提起していた訴訟で、原告側の請求を棄却した。訴訟は、2021年に破綻した英グリーンシル・キャピタルをめぐる損失補填を求めるもので、クレディ・スイスはSBGに対して4億4,000万ドル(約660億円)の賠償を請求していた。 グリーンシル破綻が訴訟の発端に グリーンシルは企業間の債権を証券化する金融サービスを手がけ、クレディ・スイスはその関連ファンドを通じて投資家資金を運用していた。しかし2021年3月にグリーンシルが経営破綻し、投資金の多くが回収不能となった。クレディ・スイスはSBGがグリーンシルへの出資や取引を通じて損失に関与したと主張していた。 UBSが訴訟を引き継ぎ審理継続 2023年、経営難に陥ったクレディ・スイスは同業のUBSによる救済買収を受けた。これによりUBSが訴訟を引き継ぎ、SBGに対して法的責任を問う手続きを継続していた。しかし高等法院は、SBGの不正行為を裏付ける根拠が十分でないと判断し、訴えの棄却を決定した。 ソフトバンク「正当性が明確に示された」 判決後、ソフトバンクグループは声明を発表し、「当社は一貫して誠実に行動しており、今回の判決によって事実関係が正しく示された」とコメントした。これに対しUBSは、「判決内容を精査し、今後の対応を検討している」と述べ、関係者の利益を守るために適切な措置を取る意向を示した。 巨額訴訟の帰結が示す企業間リスク管理の課題 今回の判決により、SBGは巨額の賠償請求を免れる結果となった。一方、クレディ・スイスに端を発する一連の混乱は、国際金融市場におけるリスク管理の重要性を浮き彫りにした。金融機関が複雑なサプライチェーン金融に関与する際の監督体制の不備が、改めて問われることになった。
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