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かんぽ生命、米再保険事業に3000億円を投資

海外事業拡大に向けた戦略的投資が始動 かんぽ生命保険は、米国の投資ファンドKKRが保有する再保険会社グローバル・アトランティック(GA)への20億ドル(約3000億円)の投資契約を締結し、2026年前半に向けた運用開始を計画している。 少子高齢化で縮小する国内市場が背景 日本では少子高齢化により生命保険市場の成長が鈍化している。こうした状況下で、かんぽ生命は収益源の多様化を急務とし、海外事業の拡大を目指している。他の国内生保でも米系企業の買収や出資が相次いでおり、海外展開が業界全体の共通課題となっている。 グローバル・アトランティックとの提携強化 2023年にKKRとGAとの連携を始めたかんぽ生命は、2025年2月に追加投資に関する覚書を締結しており、今回の契約でGAへの出資比率は50%を超える見込みとなり、対象は再保険や年金、さらには戦略的投資案件まで拡大する。 米年金市場の成長が投資判断を後押し GA幹部によると、米国の退職金市場は過去5年間で年金保険料が倍増するなど急速に拡大している。こうした市場環境がかんぽ生命の投資判断を後押しし、米市場を通じた新たな収益源の確保を狙う動きが鮮明になった。 収益源多様化への取り組みが本格化 谷垣邦夫社長は、今回の投資によって「米年金市場や再保険市場の成長を取り込み、収益源の多様化につながる」と述べた。郵政民営化法による制約下で連結子会社化が困難な中、提携を通じた海外戦略が今後の収益基盤強化に直結すると見られる。

給付水準3割減を想定 将来世代への備えが焦点に

年金改革の修正案が審議入り、法案成立へ前進 28日、衆議院厚生労働委員会にて、自民党・立憲民主党・公明党が提出した年金制度改革法案の修正案が審議入りした。法案は、将来的な基礎年金の給付水準の著しい減少に対する対策を明文化しており、今国会での成立が視野に入っている。 財源論議は次回以降に持ち越しの方針 今回の修正案では、給付水準の底上げに必要な財源として厚生年金の積立金および国費の活用が記載されているが、具体的な金額や調達方法についての議論は次回以降に先送りされた。制度設計の方向性を優先し、まずは法的根拠を確保する姿勢が取られている。 与党提案に一部野党が反発、採決時期にずれも 与党は30日の質疑を経て迅速な採決を目指す構えだが、立憲民主党を除く他の野党が手続きの拙速さに懸念を示しており、与野党間での調整が今後の焦点となる。採決の時期と方法については、さらなる協議が必要とされている。 支給額減少への緩和措置も明記 修正案には、厚生年金の支給額が一時的に減るケースへの緩和策も含まれている。これにより、積立金の活用によって不利益を受ける可能性のある層への配慮がなされており、制度改正による影響を最小限に抑える設計が意図されている。 少子高齢化時代の年金制度見直しが加速 基礎年金の給付水準は、少子化と高齢化の進行により、現行より約3割低下するとの予測がある。こうした将来の懸念に対し、政治的な合意形成が進んだことは、年金制度改革の重要な転換点といえる。制度の安定性確保に向け、今後も議論が継続される見込みだ。

年金支給額が1.9%増も実質目減り 高齢者負担増の新年度開始

社会保障制度に変化 新年度からの生活への影響とは 2025年4月1日から、年金や医療保険などの社会保障制度にさまざまな変更が適用された。年金の支給額は名目上引き上げられるが、実際には実質的な価値が低下する形となる。加えて、高齢者の保険料負担も拡大するなど、多くの国民に影響を与える制度改定が行われている。 年金支給額は1.9%増も実質価値は下落へ 新年度より、公的年金の支給額は前年度比で1.9%引き上げられた。この改定は物価や名目賃金の変動を基に毎年度実施されるものだが、今回は「マクロ経済スライド」の適用により、賃金上昇率よりも低い水準に抑えられた。これにより、表面的な支給額の増加とは裏腹に、年金の実質的な購買力は低下している。 将来の年金財政を維持することを目的とするこの仕組みは、受給者にとっては実質的な生活水準の低下を意味する。現役世代の負担軽減と年金制度の持続可能性が求められる一方で、高齢者の家計に与える影響も無視できない。 国民年金保険料が月額17,510円に引き上げられる 公的年金制度における保険料にも改定があり、国民年金の保険料は月額530円増加し、17,510円となった。この改定は全加入者に影響するため、特にフリーランスや自営業者などにとっては負担が増す形となる。 また、就労中の65歳以上の高齢者が対象となる「在職老齢年金」制度にも変更が加えられた。支給額の減額基準となる賃金が、月額50万円から51万円に引き上げられ、一定の収入を得ながら年金を受給する高齢者の一部には恩恵となる可能性がある。 高所得の75歳以上に保険料増 加入者への影響広がる 医療保険制度では、75歳以上の高齢者に対する保険料負担が拡大された。2024年度には年間の年金収入が211万円を超える人が対象とされたが、2025年度からは153万円以上211万円以下の層も新たに負担増の対象となる。 さらに、年間保険料の上限額は73万円から80万円に引き上げられ、1人あたりの平均負担額は年間約1,300円の増加とされている。この変更は、急速な高齢化によって現役世代の保険料負担が膨らむのを防ぐことを目的とし、出産育児一時金の財源としても一部が活用される見込みだ。 社会保障制度の持続へ 現役と高齢者双方に課題 今回の一連の制度改定は、日本の社会保障制度を持続可能にするための措置として実施された。少子高齢化の進行により、現役世代と高齢者の間での負担の在り方が大きく問われている。 高齢者にとっては支給額の実質的な目減りや保険料の負担増が生活に影響する一方で、現役世代の負担増も限界を迎えている。制度の信頼性と公平性を維持しつつ、次世代への負担を抑えるには、今後も継続的な見直しと柔軟な制度設計が求められる。