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主力H3再び失敗、国産ロケット体制に課題浮上

発射から失敗判断までの流れ 22日午前10時51分に発射されたH3ロケット8号機は、約30分後に予定されていた衛星軌道投入を達成できなかった。飛行中に第2段エンジンの燃焼が想定より早く終了し、太平洋上空で推進を失った。JAXAは取得したデータを基に、軌道投入失敗を公式に認定した。 技術的課題としての圧力低下 第2段エンジンでは、燃料として用いられる液体水素のタンク圧力が低下していたことが確認された。燃焼継続に必要な条件を満たせず、推力不足に陥った可能性が示されている。調査ではエンジン本体だけでなく、燃料供給系や制御装置も含めて詳細な検証が行われる。 測位衛星網整備への影響 みちびきは複数機体制で運用することで、他国の測位システムに依存しないサービスを目指してきた。すでに6号機は運用に入っており、7号機も打ち上げが予定されていた。今回の失敗により、計画全体のスケジュール調整が避けられない状況となっている。 H3開発の経緯と現状 H3は2023年3月の初号機打ち上げで第2段エンジンに点火せず失敗したが、その後は5機連続で成功していた。8号機は全長57メートル、衛星を除いた重量約422トンとされる。主力機としての運用拡大が期待されていた中での失敗は、信頼性の再検証を迫る結果となった。 今後求められる対応と検証課題 文部科学省とJAXAは対策本部を設置し、原因究明を急いでいる。原因特定と対策が完了するまで、次の打ち上げ計画への影響は避けられない。国産ロケット体制の安定運用に向け、技術面と運用面の両面での見直しが求められている。

日本版測位網が拡充へ H3で「みちびき」7号機を打上げへ

みちびき7号機の公開と計画が判明 準天頂衛星「みちびき」7号機が神奈川県鎌倉市で公開され、2026年2月1日にH3ロケット9号機で打ち上げられる予定であることが明らかになった。打ち上げ場所は鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターで、午後4時30分から午後6時の時間帯が設定され、予備期間は3月末まで設けられている。今回の計画は、国内の高精度測位を支える衛星網の整備を加速させるもので、運用体制の強化に向けた大きな節目となる。政府は衛星測位システムの安定運用を重視しており、複数機が連続的に稼働する仕組みの確立を目指している。 日本上空の測位衛星運用体制が拡大へ みちびきは日本版GPSとして位置づけられ、アジア・オセアニア地域の測位を対象とした国の衛星システムである。現在5基が稼働しているが、12月7日にはH3ロケット8号機で5号機が投入される。5号機と7号機が加わることで、日本上空に常に4基以上の衛星が位置する体制が整う見通しだ。この構成により、従来は米国GPSに依存していた時期と比べ、自律的な測位サービス運用が可能となる。衛星網が増えることで、日本列島とオーストラリア大陸をカバーする運用領域もより安定したものとなる。 高精度測位が産業分野に与える影響 みちびきの信号はGPSと連携することで、位置情報の誤差を約10メートルから数センチまで縮小できる。高い精度を必要とする場面では、この性能向上が大きな意味を持つ。自動走行を目指す車両の制御や農業機械の遠隔操作、インフラ点検の効率化など、多様な用途での導入が期待されている。特に農機や建設機器の自動運転技術では、数センチ単位の誤差が作業精度に直結するため、衛星測位の安定性は不可欠とされる。災害時における安否確認や復旧作業でも、高精度の位置把握は被害範囲の特定に役立つ。 アジア・オセアニア地域への利用拡大が進展 内閣府の関係者は、みちびきの信号が国内にとどまらずアジア・オセアニア全体で利用可能である点を強調している。広域利用が可能になることで、企業や自治体が展開する測位関連サービスの国際的な展開にも追い風となる。スマートフォンでも受信できる仕様のため、海外のユーザーにとっても導入のハードルは低い。今後、測位データを活用した物流改善や災害対応システムが、地域全体で普及する可能性が高まっている。広域連携を視野に入れたサービス展開が、産業の競争力向上につながるとの見方がある。 将来を見据えた衛星体制強化の動きが判明 政府は衛星に不具合が発生した場合でも運用を継続できる予備体制として、11基規模の運用網を確立する構想を掲げている。三菱電機は打ち上げコストの削減を目的に、1機のロケットで2基を同時に搭載できる新型衛星の開発を進めており、2032年度の実用化を目指す。衛星体制の強化は測位の安定性を高め、安全保障上の信頼性確保の面でも重要とされる。みちびきの高精度信号はサイバー攻撃や電波妨害に対する耐性が求められ、運用面での堅牢性の向上が引き続き課題となっている。将来の衛星網構築に向けて、官民連携による取り組みが進展している。