日産とルノー、資本関係の見直しへ
日産自動車は2025年3月31日、フランスの自動車大手ルノーの電気自動車(EV)新会社「アンペア」への最大6億ユーロ(約970億円)の投資を取りやめると発表した。また、両社は2023年7月に締結した資本契約を見直し、相互の株式出資比率を15%から10%まで引き下げる権利を有することで合意した。日産の決定は、EV市場の変化や戦略の再評価によるものとみられる。
アンペアへの投資中止の背景
日産は当初、ルノーが設立したEV専門の新会社「アンペア」に対し、最大6億ユーロの投資を予定していた。しかし、今回の決定により、日産はこの計画を撤回することになった。EV市場は急速に変化しており、各社が競争力を維持するための戦略を見直す中、日産は独自のEV開発に重点を置く方針を明確にした。
資本関係の見直しと影響
日産とルノーはこれまで相互に15%の株式を保有していたが、今回の合意により、両社とも出資比率を10%まで引き下げる権利を持つことになった。これにより、日産とルノーの関係は従来の資本的な結びつきから、より柔軟なパートナーシップへと移行する可能性がある。
小型EVの生産委託は継続
一方で、日産はルノーの小型EVの生産を引き続き委託する方針を示している。これは両社の協力関係を維持しつつ、各自の戦略的な自由度を確保するための措置と考えられる。ルノーも日産との提携を重要視しており、今後も共同開発や生産の分野で協力を継続する意向を示している。
日産の今後の戦略
日産はEV市場における競争力を強化するため、自社開発のEVや次世代バッテリー技術への投資を加速させる見込みだ。今回の決定は、日産が独自の戦略を推進しながら、ルノーとの関係を新たな形で維持するための一環といえる。