初の300メートル級実験に成功、実用化へ前進
2025年6月17日、本田技術研究所は北海道大樹町で自社開発の再使用型ロケットによる離着陸実験を成功させた。高度271.4メートル、着地誤差37センチという高精度な結果を達成し、将来的な実用化へ向けた大きな一歩となった。
再使用型技術がもたらす持続可能な宇宙輸送
実験機は垂直に上昇・着陸する設計で、短時間での再打ち上げを可能にする再使用型ロケットの特性を体現している。これにより従来の使い捨て型に比べ、コストや環境負荷の大幅な削減が見込まれており、宇宙輸送の在り方に変革をもたらす可能性がある。
Honda独自の安全設計と地域連携の成果
Hondaは安全確保を最優先に、1キロメートルの警戒区域を設定し、衝突や爆発による被害を防ぐ飛行条件も綿密に計算。地元自治体や住民との連携のもとで実験を成功に導いたことは、今後の宇宙プロジェクトにも通じる重要な成果となった。
宇宙開発は「技術の社会還元」の象徴
燃焼や制御の高度な技術を応用し、若手技術者の「ロケットを造りたい」という夢から始まったHondaの宇宙開発。人工衛星による通信サービスやデータシステムの強化など、人々の生活に貢献する応用可能性は広がっている。
持続可能な未来に向けた目標設定
Hondaは今後も技術開発を継続し、2029年の準軌道到達を目指す。三部社長は「挑戦を続けることで、人びとの空間と時間に新たな価値を提供していく」とコメントし、宇宙を通じた企業の社会的使命の拡大を示した。