初の実運行で次々と明らかになった問題点
6月22日にテキサス州オースティンで開始されたテスラの自動運転タクシーは、わずか数日で複数の異常行動が確認されている。撮影された映像には、車両が反対車線に進入したり、乗降場所として不適切な地点で停止する様子が映っており、速度変化も極端であった。特に急ブレーキの場面では、乗客が前方に投げ出されるほどの衝撃が記録され、安全面での課題が浮き彫りとなっている。
オースティン市当局も状況を把握し対応準備
オースティン市の報道官は、ソーシャルメディア上に拡散された動画を通じて、現地当局が事態を把握していると説明した。法的または安全上の問題が認められた場合には、速やかにテスラ社と共有し対応を図るとしている。現時点で市当局による直接的な介入は行われていないが、市民の不安は拡大しており、今後の動向が注視されている。
専門家が「異常な初動」と指摘する技術的未熟
カーネギーメロン大学のフィリップ・クープマン教授は、数日のうちに多数の不具合が公になったことに「極めて異例」とコメントした。同氏は自律走行技術における安全評価の専門家であり、今回のような映像が早期に拡散することは、開発段階でのテスト不足またはシステム設計の未成熟を示すと警鐘を鳴らしている。
「安全監視員」の介入で回避された事故も
テスラのロボタクシーには、助手席に人間の安全監視員が同乗しており、トラブル時には手動で介入可能な体制となっている。ある映像では、配送トラックが突然バックを始めた際に、監視員が緊急停止ボタンを押して事故を未然に防ぐ様子が記録されていた。完全自動運転を標榜する中で、人間の介入が必要とされた事実も、同社の技術課題を浮き彫りにしている。
テスラ側は沈黙、動画は少なくとも11件確認済み
ロイター通信は、問題点を示す少なくとも11件の動画の撮影場所を独自に検証したと報告している。だが、テスラ側は現時点で一切のコメント要請に応じていない。テクノロジーの先駆者として注目される同社にとって、この事態への対応はブランド価値を左右する試金石となる。